2015年12月21日月曜日

お料理教室

こちらに来て初めてのお料理教室に行ってきました。
フランス人シェフとご結婚された、日本人の奥様が、日本人を対象に日本語でフレンチを教えてくれるという、ありがたい教室です。

これがとっても勉強になりました。
メニューは、
前菜 白身魚のタルタル
メイン うずらの詰めものロースト
デザート 栗のモンブランパフェ

うずらは、鶏肉のミニ版ということで、手軽にさばいたり、お腹の中に具材を詰めたり、タコ糸でしばったり、などのプロセスがわかりやすく学べました。
といっても、1人で一羽最初から処理できるかどうか…。ポイントはでも、お腹の中にあまりパンパンに詰めすぎないこと。ついつい、まだ入ると欲張って詰めてしまうので。これって、お菓子詰め放題などのクセが残ってるからだろうか。。
生クリームと白ワインとキノコを煮詰めたソースで鍋ごとオーブンで15分ほど焼いた後の状態。これを解体して以下のように盛り付ける。解体の仕方も改めて勉強になった。

そして、何より目からウロコだったのは魚のタルタル。
教室で使ったのはmaigreという魚で、日本ではオオニベと呼ばれる、スズキの一種?とか。白身の刺身用魚なら何でもいいと思う。
サイの目に切って、細かく刻んだパクチーとシブレットのハーブ、粗くつぶした松の実、レモン汁、ケーパー、パプリカパウダー、そしてこれがポイントの揚げナスのサイの目切り。ナスは塩を振って水分を出してから揚げるのだけど、塩は粗塩gros sel。そうするとナスがかなり汗をかくし、味もしっかり塩気がつく。結局タルタルには塩胡椒もしないので、塩気の決め手は、このナスとケーパーだけ。あとはくるみオイル。これも初めて知ったのだけど、すごくコクがあって料理の味をよく引き立てる。オリーブオイルの代わりにサラダとかに今度からよく使ってみよう。

早速スーパーで買ってきた調味料類。

今まで私に足りなかったのはこの材料だったのだ!とは、おおげさだけどこれから少しでも料理の幅を広げてくれますように。といって、持ちぐされになることも大いにあり得ますが。。

2015年12月18日金曜日

師走の鴨

2週間前くらいから街はすでにノエル(クリスマス)の身支度を整えて、テロの影響でトーンダウンしているのかもしれないけれど、やっぱりどこか浮足立っている。
日常は続くのだから、ノエルはやっぱりイルミネーションで家や街全体を飾らないとね、とばかりに。ショーウィンドーにもベビー服だってスパンコールをたくさんつけた特別の日仕様です。
シャンゼリゼのイルミネーションより丸の内のイルミネーションの方がおしゃれだという噂もありますが・・(私が言ったんですけど)。

職場でもクリスマス休暇の話題で持ち切りで、国際色豊かなので、結局実家(本国)に帰る人が多いからか、いつの間にかお国自慢になっている。
パリに残る人はむしろしょうがなく、地味な休暇さ、と嘆きモードですが、いやいや、パリで年越しなんて願ってもないって人も世の中沢山いますからね。

ローマ近郊のオルビエトという本当に素敵な街出身のイタリア人が始めたお国自慢では、私も昔その街を訪れたことがあったので、イギリス人を前に散々いかにその街が魅力的で、素晴らしいカテドラルがあって・・と語るのにいちいち相槌を打ってあげていたのだけれど、さらにイタリア料理がどれだけ美味しいか、フランス料理なんてバターばっかりだし種類も少ないし、やっぱ本場のイタリア料理は・・というところで私も食い気味に乗っかってヒートアップ。そうですよね、フランスのイタリア料理って全然美味しくなくてびっくり、東京のイタリア料理の方が数倍美味しい、と言ったらイタリア人も完全同意、東京のイタリア料理は素晴らしいさ、フランスはホントこんなに近いのに全然ダメ!と二人で盛り上がる。イギリス人は、残念ながらイギリス料理自慢ができないので、そうそう、インド料理とかアジア料理とかフランスよりイギリスの方が全然美味しいよ!と、何の自慢かもはやわからなくなるが、一応乗っかってくる。そしてイタリア人が、ローマとミラノの中間あたりの全然知られていない街で一応一つ星レストランなんだけど、偶々そこで食べたリゾットが人生で一番おいしいリゾットだったというので、私は興奮隠せずに、そのレストランと街の名前を教えて!絶対行くから!!と、教えてもらった街の名前をまずは覚えるので頭がいっぱいになっている中、イギリス人がところでそのリゾットどんなリゾットなの?と冷静な質問。そしたらイタリア人が信じられない発言を・・。「いや、これがびっくりなんだけれど、ビールで煮込んだ米の上にフレーバーとしてコーヒー味のソースが乗っている感じなんだよ。本当に今までで一番美味しかったリゾットだったよ。」と。イギリス人も私もそこでどれだけ意気消沈したか、互いに感じ取ったはず。あ、なんか斬新な感じのレストランなんですね。。と返してこの話はここでおしまい。

イタリア人が人生で一番おいしいっていうから、期待度マックスになったのに。
ビール&コーヒー味のリゾットなんて、美味しかったとしてもあんまりそそらないですよね、、普通。


気を取り直して、昨晩ビストロで食べた鴨の話(本題)に。
鴨のコンフィ(Confit de Canard)はアップルパイとかクスクスと同じくらい、定番のお気に入り。
塩と油で保存した骨付き鴨のもも肉を焼いただけのものですが、これが大好き。

鴨のロースト(Magret de Canard)は、たまに当たりはずれがあるし焼き加減がばっちりはまらないとひたすら脂身たっぷりの肉と格闘することになるので、これはよっぽど信頼する店じゃないと食べない方がいいなと最近学びました。

いずれにしても師走といえば鴨ですよね。
外国人に日本でも鴨はよく食べるんですよ、昔から、という話をしながら鴨南蛮が無性に食べたくなった。七味をたっぷりかけて。年越しそばは鴨南蛮にしようかな。











2015年12月11日金曜日

車がやってきた

もちろん空から雪が降ってくるように車がひとりでにやってきたわけではなく。
ここに至るまでに途中で心が折れそうになるほどの、手探りでのフランスでの自動車購入手続きとチェック(小切手)を切ってからも続く忍耐と辛抱のナンバー登録のための行政手続きを経たわけですが。。

ようやく、念願のマイカーを手に入れました。
これで私も一国一城の主、なんちゃって。

といっても、私の人生にとっては3台目の車。
エジプトで乗ったスバルインプレッサ。
UAEで乗った日産パスファインダー。
ただし、今回が初めてのおさがりでもなく、自分でごまんとある選択肢の中から選んだ車種。

工業デザインとしてはドイツ車に心惹かれるものがなんとなく(車マニアでもなんでもないど素人的目線)あったのですが、折角フランスにいるのだからこの際フランス車に、という短絡的発想で(この先フランス以外ではフランス車に乗ろうとはあまり思わないだろうから、という消極的な考えもなかったとは言えないが・・)。
フランス車といえば、プジョー、ルノー、シトロエンが代表的メーカーで、プジョーが日本でもよりポピュラーかと思うけれど、最近のプジョーはどうもテールランプのデザインがあまり好きになれず・・。昔からちょっと気になっていたシトロエンの後部デザイン(丸みが特徴的)を改めて見て、やっぱりその独特さが好きだなあと思ったのと、最初に試乗したときのフロントガラスのルーフがスライドして視界が開ける構造にまんまとハマってしまい。
というか、完全に見た目重視の浅はかさ加減がバレバレでお恥ずかしい。
Citroen DS4 THP 200
カー専門誌のウェブから拝借。ホントはこの色が良かったのだけれど、私のは黒。


いずれにしても、シトロエンDS4との出会いをここで果たしたのでした。
エジプトではあまりに乱暴運転厳しい環境下で酷使したということもあり、正直よく覚えていない(言い訳か)のだがあちこちボコッとしたりSUBARUのアルファベットのどれかが落ちてしまったり、まあエジプトでの車にまつわるエピソードは途切れることがないのだけれど、オンボロにしてしまっただったこともあり愛着がどこまであったか疑わしいのに比べ、UAEでは快適なドライブ環境だったこともあり、文字通り足代わりに毎日毎日乗り回していたために、最後のお別れは涙が出そうになるくらい寂しいものがありました。まさに、苦楽を共にした相棒という感じ。

パリでは平日はほとんど乗る機会も必要もないし、どこまでお供になるか、そして愛着がこれからどこまで沸いていくかはわからないけれど、どうぞよろしく。今のところ乗り心地は気に入っています。
そして、どんなに運転に慣れることがあっても、決しておごらずあくまで謙虚に、厳重に安全運転することを誓います(人生の運転にもそのような姿勢と心がけが必要なんですが・・ひとまずここは車の運転に集中して謙虚さを発揮させることにします)。

でも、フランス人と結婚しパリ在住15年のオーストラリア人の秘書に、フランスでの運転のコツを聞いたら、「とにかく強気で。堂々と運転しなさい」の一言。まあ確かに、ラウンドアバウトとかはビクビクしてたら逆に事故ってしまいそうだけれど。。謙虚に強気に!がんばります。




2015年12月8日火曜日

帰り道

パラパラ小雨降る帰り道。
傘がないので家路を急ぐ。
でも出張明けで家に食材もあまりないし、むしろ少しご無沙汰したフランスの食材への恋しさが勝っているので、ちょっと遠回りしてバゲットの美味しいパン屋に寄って帰る。
Victor Hugo通りにある Huréというパン屋さん、2015年バゲットコンクールでトップ10入りしているだけあって、バゲットは突出して美味しい。

雨の中このバゲットのために来ました、という顔をしていたかはわからないけれど、お店に入るといつものバゲットがたくさん立てかけてあるところに一本もないのを見てショックを隠せずに「もうバゲット一本も残ってないんですか?」と残念そうに尋ねると、お店のお姉さん、ちょっと笑いながら「・・ソード!」的なことを言っている。
もしかして、今英語でSold out的なことを言ったのかな、と一瞬聞き取れなくて、聞き返したら「Toute chaude!」と言いながら、カウンターで隠れて見えなかったけれど、足元に山のようにあるバゲットを一本出して「はい、1.2ユーロ」と。
なーんだ。あるじゃん。しかも、焼きたてホヤホヤ!

そう、toute chaudeというのは全部あったかよ、という意味。パン屋の決まり文句でした。
炊きたてご飯かつきたて餅のような感じ。もう触っただけで幸福感に満たされる。
もちもちであったかい感触がなぜみんな大好きなんだろう。やっぱり人間の本能だろうか。
わかりづらいか、、このもちもち感


お気に入りのパン屋からお気に入りの八百屋へ。
カリフラワーとマッシュルームと人参と梨とクレモンティーヌを買って、ようやく家に帰る。梨は絶対冷蔵庫に入れないで明日の朝に食べるんだよ、と念を押される。カリフラワーは今日採れたてだからね、マッシュルームも多分明日出すようの新しいケースから出してくれた。この八百屋さん、「マダム、お伺いします!何をお求めですか?」とお客さん一人一人に丁寧に接客してくれて、レジのお兄さんまで含めて全員がニコニコと気持ちの良い人たち。マルシェの活気も好きだけれど、個人商店の丁寧さと信頼関係もとても心地よい。

フランスのサービスは本当にいけてないと誰もが口を揃えるし、私も日々実感しているところ。でも、コツが必要なんだと最初のオリエンテーションで言われたとおり、挨拶を丁寧にすることと、行きつけのお店を作ることの二つ、これも確かに実感する。
ボンジュールだけではダメで、ボンジュールの後にマダムかムッシュをつけないと失礼なんだと、フランスでは子供の時から厳しく躾けられるとのこと。行きつけのお店を作ると、ちょっとしたコミュニケーションの積み重ねで、いわゆるお得意さん扱いをされ、サービスもぐんと良くなると。

私にとっての行きつけのお店作りは、たやすい。美味しいものがあれば必ずリピーターになるんだから。
一歩進んで開拓して、三歩下がってリピートするという感じか。






2015年12月4日金曜日

日曜日のパリ観光

先週末、高校の同級生がパリに遊びに来たときのアテンド内容を備忘録も兼ねて。

日曜日のパリ観光ということで、お店は大抵閉まっているので、ショッピングもレストランもかなり制限があるけれど、限られているから答えが明快という側面も。
日曜日でもできることと言えば、まさにど真ん中の観光コース。

朝食は、ラデュレのパンペルデュ。
日曜は10時開店なので、遅めの朝というかおめざにぴったりの甘くとろける一品。生クリームを食べるためのパンペルデュ。
サンジェルマンのボナパルト店は、それほど混まないと聞いていたけど、確かに日本人観光客が行列してるというシャンゼリゼ店のようなことはなく、適度に空いている。シャンゼリゼ店も今は空いているのかもしれないけれど。
友達の泊まっている右岸からポンヌフ橋を渡ってきたので、朝早起きするならノートルダムやサントシャペルを朝ご飯前の訪問スポットにするのもいいかも。

ラデュレからセーヌ川に沿って10分ほど歩いてオルセー美術館へ。
印象派を中心に見て、ざっと1時間くらいか。途中、2階から5階に上がる階段の上りきったところで、オルセーを上から一望できる場所があり、そこにいた知らないおばさんに写真を撮ってもらう。丁寧なおばさんで、時間をかけて撮ってくれただけあって、なかなかにバックのオルセーの配置などよく撮れてた。頼まれて撮る写真をちゃんとこだわって撮ってくれるって、条件反射のようだけど、偉いなあと感心。
これは私のこだわりのアングル笑。
ロダンとモネ。

次に向かうは、対岸のオランジュリー美術館。…が!何とちょうど1時間前くらいからチュイルリー公園のセキュリティ強化とかで、公園内にあるオランジュリーも閉館に。

うー残念。
ということで、チュイルリーを迂回しつつコンコルド広場からサントノレの方に向かおうとしたら、コンコルドにある観覧車に乗ろうと友達の提案。観覧車なんて何年ぶりだろう、15分ほど並んで、大人1人12ユーロの観覧車へ。
お天気はいまいちで冷たい風が中まで結構吹いてきて寒かったけれど、なかなかナイスビューでした。普段しないことをするのが観光なんだと改めて実感。

冷えた身体を暖めるためにも、遅めのランチへ直行。こないだ見つけたダローサへ。こだわり食材のサラダと、美味しいブレンドティー、ダローサ。

午後はモンマルトルの丘へ。
サクレクールはいつもの賑わい、沢山の観光客であふれていました。
サクレクールをちょうど降りたところに、最近話題のグルメ通り、rue des Martyrs へ。美味しいコーヒーやもっちりベルギーワッフル、ケーキ屋さんのレベルも高く、テンション上がりっぱなし。日曜日なのにセレクトショップやブーツ専門店などもやっていて観光客には嬉しい。
もっちりワッフルを口いっぱいに頬張る女の子があまりに可愛くて。

夜はポンピドゥー近くのクスクスやさんへ。
日曜夜はエスニックしかやってないよなーということで、急遽思いついたのだけど、消去法では決してない、敢えてのクスクス。

それにしてもよく食べました。
芸術に浸るよりも結局は胃袋を満たしてしまう、私のパリ案内。





2015年11月26日木曜日

カテドラルと満月

テロ犠牲者の追悼ミサが行われたノートルダム大聖堂。
明日でテロから2週間。
今夜はきれいな満月が照らす中、ノートルダム大聖堂は、静かに光り輝いていていました。

パリの街中は、やっぱり観光客が減っているようだけれど、普通の市民の表情がよりクリアに見られるような気がする。
ヘミングウェイが、パリは移動祝祭日と言っていたけれど、今のパリは地に足をつけて普通の毎日を送るように、静かな落ち着きを見せているのかもしれない。



2015年11月24日火曜日

マスタードイエローの手袋

今季一番の寒い朝。
ドラマチックに空が明けてくる。

思わず電車に乗ってしまおうかと思ったけれど、絶対歩く内に寒さ忘れてむしろ暑くなるはずだと、ストールをぐるぐる耳を覆うように巻いて歩みを進める。

おしゃれなマダム遭遇率が結構高いパッシーの小学校前を過ぎたあたりで、今朝もばっちり決まってるマダム二人発見。

一人は連れてるテリアまでがおしゃれの一部のように、キャメルのチェスターコートに、白のスパッツをキャメルのニーハイブーツに入れて、極めつけはジャストサイズのフェルトの帽子。女優でもこんなにキメて犬の散歩にいかないんでは・・?という感じだけれど、この界隈は普通にうようよいます。

そして思わず見とれてしまったのが、もう一人の颯爽と全身グレーのコーディネートで歩くマダム。グレーのウールのトレンチコートに、グレーのウールパンツ、カシミアリネンっぽい薄いグレーのストールを首に巻いて、グレーのニット帽が外しているようで外していない。もっとも心を奪われたのは、マスタードイエローの革の手袋。
マスタードイエローとグレーの組み合わせ!秋口からなぜかずっと気になっていたけれど、どんぴしゃりなお手本に遭遇した感じ。

マスタードイエローで頭がいっぱいになっている内に、案の定暑くなっていつもの橋を渡る頃にはストール外してコートの前ボタンを開けてちょうどいい。すがすがしい朝。

でも手はとっても冷たくて、手袋が欲しくなる。
あのマダムのような手袋、どこかで出会えますように。

2015年11月21日土曜日

マルシェ

パリというか、フランスの良さをしみじみと感じ、うん、また頑張ろう!という素朴なエネルギーをもらえる場所といえば、マルシェでしょう。
今日は土曜日。イエナのマルシェに久々に行ってきました。



「マダム、アベック・スーシー?」という声があちこちで聞こえるので、日本から来た人は、「え、寿司?」と思ってしまうかもしれないなあ・・なんてアホなことを考えつつ、色とりどりの見たこともないような野菜や果物にうっとりする。


きつーい臭いのチーズが並ぶ乳製品の店や、ウニから舌平目からマグロの切り身までなんでも売ってる魚屋、日本の花の1.5倍くらいはあるだろうという切り花がどっさり積まれた花屋、などなど、見ているだけで本当に飽きない。

さすがにもう何度か来ているので、少しずつ勝手を覚えなくては。周りの人が何を買っているのか、どう選ぶのか、どうお店の人とやりとりするのか、観察に余念がない。

と言いつつ、今日もやっぱりせいぜい野菜を仕入れるにとどまるビギナーな私。


前から買ってみたかった、色とりどりの人参がブーケのようになっているのと、バターと塩をつけて食べたいきれいなラディッシュと、きのこなどを少々。

広げてみるとやっぱり幸せ。




ちなみに、アベック・スーシーというのは、「この他には?」という意味。
最初から全部カゴに入れてレジに持っていく買い方しか知らなかったので、次から次へと考えながら、うーん、これも、あれもと追加型で買うフランスのシステムは、私のような優柔不断にはいいのかもしれない。




2015年11月20日金曜日

秋の桜

秋の桜と書けば、コスモスだけど、今日は秋に咲く桜を見かけました。

ここのところ季節が足踏みをしているようで、葉っぱは落ちても、体感気温的には割とあたたかく。
思えば、8月末に来てから同じユニクロのウルトラライトダウンをどんだけ毎日着ているのか。
もう少し寒くなって、コートとか毛糸のマフラーとか手袋とかの出番を作ってもらってもいいんですよ、と思っていた矢先、今週末から一気に寒くなるらしい。
待ってました!とは言えない寒がりのくせ。

今日もお昼に冷たい雨が降る中、外に出かけて、ぶるぶると少し震えながら歩いてたところ、幻覚か?と一瞬目を疑う光景が。
雨なので誰もいない公園の中庭に、ぼんやりと薄明りが灯ったような白やピンクの花が満開に咲いているではありませんか。
まさか、桜?11月に?

傘をさしながら、ということもありうまく撮れなかったけれど、これはどう考えても桜ですよね。



おそらく、このサイトにあるように、十月桜(Prunus subhirtella ' Autumnalis Rosea')のことではないかと;

花が秋にも開花することから十月桜という。全体の蕾の1/3が10~12月頃に少しずつ開花し、残りの蕾が4月上旬頃に開花する。春の花の方が大きい。花は八重、花弁は10数枚、小輪、白色~淡紅色、縁が薄く紅色になる。

さらに、Telegraphの少し昔の記事では、一年中何度もこのような可憐でけなげな、決してこれ見よがしではなく、花を咲かせ、しかも手入れもしやすくて、小さい庭に植えるにはうってつけの木ですよ!と大絶賛されている。

確かに、ここの公園は3月に通りかかった時にも、こんなかわいい花を咲かせていた。



寒いし、テロの影響でやっぱり少し虚ろな雰囲気の漂うパリ。
健気に咲く秋の桜があってよかった。



2015年11月16日月曜日

日常

13日の金曜日夜に、パリでそれぞれに楽しい夕べを過ごしていた人々を突然襲った凶弾。30分あまりの時間で、10人にも満たない人数による犯行。

未然に防ぎようがなかったのかと思う一方で、未然に防がれたいくつもの計画があったことを知り、安堵とは程遠い気持ちになる。

いつも身近に潜んでいる危険。地震がいつ起きてもおかしくはないし、飛行機がいつ落ちてもおかしくはないし、地上にいればいいのか地下に潜ればいいのか、山に登ればいいのか、下ればいいのか、本当にわからなくなる世の中だとつくづく思う。

万全の対策をしていても巻き込まれる場合もあるし、何も気にせずにあっけらかんと過ごしていてそのまま何事もなく済む場合もあるだろう。


一瞬一瞬が、それぞれ終わりを迎えているのだから、大切に過ごすしかない。
浅はかな私の考えでは、またさらに毎日の食事を見直すくらいしかできないのだろうけれど。


当たり前の毎日を丁寧に過ごすことしかできない。

いつもと変わらない通勤・通学の風景、パン屋で交わす二言三言、果物や野菜を一つずつ選ぶ行為、公共交通機関が普通に動いてくれていること(ストがないというだけではなく)、すべてが当たり前だけれど当たり前ではないと、思うこと。



イギリス人の上司は、「我々は北アイルランドとの抗争でテロには慣れてしまっているところがあるんだよね、残念ながら(sadly)」と話していたけれど、ヨーロッパはある種「いつ何が起きてもおかしくない」という現実を冷静に受け止める土壌ができているのかもしれない。

ただ、冷静でありながらも、現在直面している問題の本質を探ることが求められるのだろう。過去に何か理由の片鱗があったとすれば、そこから目を背けるわけにはいかない。週末のルモンド紙では、「なぜフランスが狙われるのか?」という問題をサイクス・ピコ協定までさかのぼって論じているが、結局は歴史や社会の矛盾に巣食う邪悪なもの、弱みに付け込まれているのだという分析。それは、フランスだけの問題ではないし、誰もが向き合わなくてはいけないのではないかと思う。

9.11が起きたとき、私はエジプトに行ったばかりで、ストリートでは満足な教育など受けていないいわゆる下層の人々が、アメリカをやっつけたぞと祝福ムードで笑い合っていて、テレビの前で起こる悲劇と現実が交錯して世の中がぐにゃりと曲がって見えるようだった。こんなにも理解できないことが世の中にあるなんて。ナイーブだったし、知識も経験も何もなかった。

今も一体何が理解できているのだろうという気がするけれど。





2015年11月9日月曜日

自転車が似合う

ヨーロッパの街は自転車がよく似合う。
古い建物と街並みを照らす朝の光と自転車。

今朝は、雨上がりで、生まれ変わったようなきれいな町でした。どんより雨雲に覆われても、冷たい雨に濡れても、こんな朝が来るなら。そして、自転車で駆け抜ける爽快感を味わえるなら、北ヨーロッパの秋は、pas mal du tout.

パリ・ビラケム橋、通勤途中

オランダ・デルフトの運河にかかる橋


2015年11月8日日曜日

秋晴れ

2週間の最終日、今日が一番穏やかでいいお天気でした。

ベランダで最後のランチ。

お母さんが大量に作ったミートソースの残りと余ったチーズを消費するため、即席ムサカ。中にカマンベール、上にゴーダ。
にんじんとリンゴのサラダを添えて。
日本では、栗原はるみのレシピでにんじんとツナのサラダばかりだったけど、フランスに来るとなぜか、留学時代に友達に教わった、にんじんとリンゴのサラダが食べたくなる。
チーズのおろし器でひたすらにんじんをラペして、リンゴを適当に切って入れて、ドレッシングは、マスタードとレモンと塩とオリーブオイルを攪拌するだけ。やっぱりパンにはこっちの方が合うからかな。

お昼前、腹ごしらえのために散策したブーローニュの森は、秋晴れの日曜日。ジョギングする人がぶつかり合うんじゃないかというくらいの賑わい。

森の中でサンドイッチが食べたいと言うので、朝の残りのバゲットを少しだけ、一口サイズのサンドイッチにして、持って行って、湖畔のベンチで食べてたら、散歩する人が通り際に、
ボナペティ!
と声をかけてくれる。

知らない人同士が気持ちよく過ごせるのは、挨拶のおかげ。こういう気配りのあるフランスだけど、昨日の夜は、アパートの隣人が大音量の音楽をかけて叫けぶように歌ったり、とにかく典型的な若者のパーティー。夜中の12時過ぎに、ピタッと止んだのは、誰か警察に通報したのか、通報されるのを見越してやめたのか…。
そりゃ、私も昔よく騒いでたからなぁという感じで、他の隣人は寛容でいられるのだろうか。今度ぜひ聞いてみたい。





2015年11月5日木曜日

一週間

たった一週間なのに、ちょうど季節の変わり目のようです。
黄色く見事に染まっていた菩提樹も、すでに葉っぱが落ちて禿山ならぬ、禿木になっている。



11月に突入して、一気に冬に向けて疾走していく感じ。


まだあと一週間あると思っていた両親のパリ滞在も、残すところあと3日。


今日のランチは、いつもの、みんな大好き、安心・安定のAu Bon Accueilにて両親を接待。
結局、2週間のパリ滞在で、レストランでの食事は2回だけ。倹約家族というか、どんだけおうちごはん好きなのか。



なので、思う存分味わってもらいました。
メニューを見て、わからなかった単語はどれも魚介類。やっぱり、もっとマルシェで魚介類も積極的に買って調理してみなければ。
このサイトで勉強しようっと↓
http://www.newsdigest.fr/newsfr/features/6355-fish-in-france.html



前菜;
母 栗とマッシュルームのポタージュ
父 フォワグラのテリーヌ
私 ヤリイカ(Encornet)のソテー、野菜添え

メイン;
母 コダラ(Lieu Jaune)のグリル、白インゲン豆と野菜のスープ、コリアンダー風味
父 鴨のロースト
私 ウズラのロースト、カリフラワー添え

デザート;
母・父 ブリオッシュのパンペルデュ、パッションフルーツソース
私 タルトタタン

食後の紅茶で母が頼んだハーブティー(Verveine)がとても美味しくて、ティーバッグのメーカーをメモる。 ➡Comptoir RichardのVerveine Bio



うちの近くに路面店があるらしいので、母が帰る前に行かなくては。





2015年10月29日木曜日

La bonne excuse


オルセー近くのレストランを探して、ネットで評価が高かったお店に試しに行ってみました。


La Bonne Excuse
48 Rue de Verneuil, 75007 Paris, France

01 42 61 50 21

火~土
12-14時半
19-22時半






両親が来ているけれど、私は仕事には行かないといけないので、お昼をオルセー美術館の出口で待ち合わせて、近くのレストランでランチを一緒に食べるという算段で。


オルセーでは年間パス特典の朝の贅沢時間をぜひ堪能してもらいたかったけれど、「とりあえず今日はランチ前後だけでいいわ」というので、お昼に待ち合わせ場所に行ってみたら、まず第一声が「あれは全部本物なのか?」と(笑)。
本物とは思えないほどの質と数がこれでもかというくらいあふれてるじゃないか、嘘みたいだ・・って。すっかり感動して、来週いっぱいの滞在期間中毎日通うとか言ってる。

大げさなのは、この親にしてこの子あり、と深く実感。


そして、ランチもとっても美味しくて、また感動してました。
よく考えたら、両親にとってフランスに来て4日目にして初めての外食。肉も魚も野菜も塩も、どれも素直に味を引き出しているだけなのに、それが何よりも自然の豊かさと広がりを堪能させられる、そしてワインが完成させる料理のどれも欠けてはならない名脇役(もはや何が主役かわからなくなる・・)ばかりの一皿一皿に、うなってました。ああよかった。美味しい思いをしてもらうのが一番。

ちなみに、このお店は刻みハーブがイタリアンパセリではなく、コリアンダーで、それがとってもいいアクセントになっていて、個人的にはそこにとっても感心しました。今度私もやってみよう。フレンチの味付けにコリアンダー。



今日のランチは、前菜(オマール海老のエキスのポタージュ/イカのソテー)+メイン(ほろほろ鳥(pintade)のグリルとマッシュポテト添え/魚のソテーと季節の野菜添え)一皿ずつで、20ユーロ。メイン+デザートだと22ユーロ。コーヒー3ユーロ、グラスワイン7ユーロ。


まさに、両親と待ち合わせでオルセー近くのレストラン、という「うまい口実」で見つけられたレストラン。今度はアラカルトでもトライしてみたいな。












2015年10月23日金曜日

オラネ

ここで、ダジャレを言いたくなるのをぐっとこらえて・・

アプリコットのデニッシュで名前を思い出せなかったのは、「Oranais(オラネ)」でした。

通勤途中にあるパン屋さんで、並ばずに買える唯一のパン屋さん(というのは人気がないということか・・)で、いつも買ってしまう、アプリコットとカスタードがはさんであるデニッシュ。
この形は日本でもたくさん見たことがある気がするし、何の変哲もないものと思っていたのだけれど。名前がちょっと聞きなれないもので気になり、調べてみたら、なかなかに興味深い背景があることがわかりました。




オラネというのは、Oranというアルジェリアにある地名(タンジェとアルジェのちょうど真ん中あたりの地中海に面したアルジェリア第2の都市)から来ており、そこがアプリコットの産地で、植民地時代多くのフランス人入植者が作って食べていたお菓子だとか。アルジェリア戦争終結(1962年)後、ヨーロッパ系住民でフランスに引き揚げた人たちによって、フランス国内に広まったとか。なお、その引揚者を総称して、ピエ・ノワール(pied noir)といういうらしい。直訳すると、黒い足。その由来は不明らしく、フランスの軍人は黒いブーツを履いてるのに対して現地のベルベル人は裸足で戦ったからだとか、船の機関室での作業員は石炭で汚れ、足跡が黒いからだとか諸説あるらしい。

というか、ピエ・ノワールって、有名人がたくさん。
イブ・サン・ローラン、小説家のカミュ、哲学者のジャック・デリダなどなど。

また、オランはライ(Raï)の発祥地だった!
ライとは;「20世紀前半の両大戦間、都市に定住しはじめた遊牧の民ベドウィンの歌謡が、この地を通過したさまざまな音楽文化と混交して成立したものですが、今日のライはアラブ音楽といっても民俗音楽や伝統音楽のイメージからはかけ離れていて、アルジェリア独特の香りを保ちながらも驚くべきモダンな、多彩な音を聞かせてくれます。」
(http://franc-parler.main.jp/Rai.html からの抜粋)

大学の留学時に、ずっと聞いていたCheb Khaled のAïcha。まさにオラン出身の世界的なライ歌手だったのか。。

うーん。たかだかアプリコットデニッシュから、いろいろ世界が広がる。


なぜか固有名詞が気になるこの頃。普通の人はあんまり気にしないのかな。
今日のランチで同僚のノルウェー人(アメリカンフレンチ(どっちもドッグが連想されてしまうけれど)の旦那さんと学生時代からパリに住み続け、英語もフランス語もノンストップでずっと話し続けられる器用なマルチリンガル。仕事も優秀だし、性格も気さくだし、とっても素敵な女性。)に、ビラケム橋の名前の由来を話したら、「15年以上そのふもとにある職場で勤務しているのに、そんな由来があるなんて、まったく知らなかったわ!」と言われてしまった。


2015年10月21日水曜日

いつもの橋

いつも渡る橋がある。

30分ほどかけての徒歩通勤の毎日。
東京では駅近至上主義だったのに。
坂道も石畳も犬のフンも今のところ歩くのが苦になるほどでは全くない。
まあ調子に乗って歩いていると、さすがに犬のフンはふんづけないが、石畳でバランスをくずして足をグキッとつまづきがちなので、その内捻挫してもおかしくはないけれど。

それよりも、セーヌにかかる何本もある橋のうち、通勤で利用する橋は、渡るたびにここが通勤経路であることを感謝せずにはいられない。










毎朝、毎夕、お天気によってさまざまな表情を見せてくれるその橋からの眺め。
エッフェル塔が一番きれいに見えるスポットとも言われるし、橋のつくりそのものが美しい。
二層構造になっていて、高架の上は6番線メトロが走り、アーチ状の柱の下は徒歩、自転車道、その脇が車道となっている。高架からは時代がかった大きなランプが吊り下がっていて、風景にとても馴染んでいる。


あまりにも定番スポットなので、大げさではなく、ほぼ毎日、その橋の上で撮影が行われている。あくまで主観的な統計ですが、70%くらいはウェディングカップルの記念撮影で、そのうちの60%が中国系、55%が韓国人のカップル。というか、ほとんどアジア系。
普通の洋服のカップルが、高架の下のアーチを手をつないで一直線に歩くというのを動画でとっているのも多い。韓国ドラマの有名なシーンにでもあるのだろうか・・。
わざわざこのためにパリに来たのではないかと思わせるほど(ホントにそういう人たちもいるのかもしれない)。

映画「地下鉄のザジ」でも使われてました




ちなみに橋の名前はBir Hakeim橋といい、第二次世界大戦で自由フランス軍とロンメル将軍率いる枢軸国軍が激戦を繰り広げた北アフリカはリビアの砂漠上にある地名をとっている。すなわちアラビア語の固有名詞で、言葉の意味としては「賢人の泉」という感じか。ここではフランス語的にユニゾンさせて読むので、ビラケムと書くと発音しやすいだろうか。


歩くたびに徳が積まれて賢くなるというようなご利益は・・今のところない。けれど、朝日や夕日に染まるエッフェル塔やセーヌの水面は、キラキラと輝いて、華々しく、英雄たちをたたえるのにとてもふさわしいのではないかと思う。







2015年10月19日月曜日

パリの食材店

ユーゴ・デノワイエという名前は知る人ぞ知る、パリで一番イコール世界で一番のお肉屋さん、らしい。

肉職人、と言われるのだそう。

街のお肉屋さんは、どこも朝からとてもいい匂いをさせて、寝ぼけた頭を食欲で目覚めさせてくれる。店頭には、チキンが丸ごとローストされて、グルグルと回っており、その匂いにつられて店内を覗くと、キラキラと赤く輝く様々な部位のお肉が誇らしげに並び、何よりもそれを扱う男たちの手や、立ち姿がとっても素敵なのである。まさに、職人。


ユーゴさんのお店に入る前に、窓ガラスに貼り紙があるのを見かける。大統領府の厨房や有名三つ星レストランなどの名前が書かれたリスト。ここのお肉を仕出ししているとのこと。日本で言えば、宮内庁御用達というところか。。

そして、いよいよ店先のいわゆるプチレストランで、食べてみました。フィレステーキ。シンプルすぎるくらいシンプルだけれど、肉の素直な味、肉が食べた牧草の味まで想像してしまう、素朴さ。自信を持って提供するのは、こういう何の誤魔化しも衒いもない、素材本来の味がそのまま引き出されているものなんだろうと、至極納得。
ちなみに、付け合わせのポテトも目が飛び出るほど(どんだけ大げさ…)美味しかった。



Table d’hôtes d’Hugo Desnoyer
28, rue du docteur Blanche
75016 Paris
Tél : 01 46 47 83 00
www.regalez-vous.com
Ouvert du mardi au samedi de 10h30 à 16h30.










なんと、近々東京は恵比寿での出店を予定しているそう。
さすが、舌の肥えている日本人。東京はホントになんでもあるんだなあ。
















たまたま、ユーゴさんのお店に行った次の日に、チュイルリー公園付近をうろうろして、ふらりと入ったお店も、日本への進出を計画しているのだとか。

まったく、グローバル化は、食いしん坊のためにあるのだろうか。

このお店、右岸で日曜お昼に開いている貴重なお店で、ルーブルやオペラ界隈散策の休憩所には最適かもしれない。とてもこだわりのある食材屋を兼ねたレストランで、ソーテルヌの貴腐ワインに付け込んだレーズンをチョコでコーティングしたものがお土産として有名(らしい)。袋入りで11ユーロ。薫り高くて、ちょっとつまむには勿体ないほど。オトナの夜更け、読書のお供などにはちょうどいいのかな。


DA ROSA RIVE DROITE
19 bis, rue du Mont-Thabor
75001 Paris
01 77 37 37 87
Du lundi au vendredi de 11h à 23h.
Les samedi et dimanche de 11h à 23h30.







2015年10月13日火曜日

くもり空

今日の最低気温は9度。いよいよ10度を切ったとのこと。
アパートのヒーター(セントラルヒーティング)は10月に入ってからスイッチが入っているようで、パイプを触るとほのかにあたたかい。ほのかに・・真冬にはちゃんと暖かくなるのだろうか。
初めてのことばかりで、不安と期待が入り混じる日々。

わかっていれば、気を付けて臨めば済むこと。何がどうなっているのか、これからどういう展開になるのかがわからない状態が、人を不安にさせる。
不安とうまく付き合うのは忘れること、他の楽しげなことに没頭することの二つがメジャーな処方箋だと思うが、圧倒的に忘れる方が得意。忘れるというか寝る。

昨夜も風呂のお湯が途中で出なくなり、髪を洗わずに切り上げざるを得なくなり(朝にはちゃんと熱いお風呂に入れる。)、やはり水回りのトラブルとは避けて通れないパリの生活なのかと不安が頭をよぎるが、あっという間に眠ってしまった。


オルセー美術館の年間パスも、2週間で正規カード(それまでは臨時カードで代用)が届くということだったのに、案の定2週間と2日経ちましたが届かず。聞いてはいましたが、この郵便事情の悪さ。ついつい、カイロと比較したくなってしまう。
このレベル、カイロ以外では知らないので。。

郵送を強いるものは極力避けたいと思わせる。だからなのか、フランスは結構ネットサービスが発達しているような気がする。問い合わせでもなんでもネットがからむことが多い。
タクシーもネットで呼ぶし、コンサートや鉄道のチケットもすべてネットで取得し、プリントアウトするか携帯からバーコードを読ませるだけ(まあどこでもそうか。)
プリントしないといえば、オフィスでも書類を紙に印刷することはめったになく、極力PC上で作業する(エコが徹底されているというよりは、紙の整理が面倒という方が強いかな)。

紙の文化にまだまだ愛着がある私は、この辞書が手放せない。
(たまたま開いたページはmanifestation!)


そのうち何かのデモに参加したくなるのだろうか。さしずめ、ストやめてくれデモ。





2015年10月12日月曜日

贅沢な時間

たとえば、こんなことができたらいいな(どらえもんか)と思い描くことの一つに、誰もいない美術館にしのび込んで一晩明かす(というのは映画の話)というのがある。そこまでいかなくても、人を見に来たのか絵を見に来たのかわからなくなるのはうんざり、というのはよくあることではないだろうか。

好きかどうかわからないけれど、とにかく有名だから見に来た、というのは自分も含めてやめてほしいなあと(←モナリザだけを見にルーブルに行ったのは私です、はい)。
好きだからなおさら一人でゆっくり静かに見たいという方がもちろん強い。

ただ、まさかそんなことが、世界一の美術館(Trip Advisorの投票では欧州1位、世界2位らしいけれど、恣意的な投票なので、世界一と言っている人もたくさんいるだろう)でできるとは。


オルセー美術館の年間パスを購入すると、通常9時半開館のところが、30分早く9時から入館できるというので、行ってみました。
週末だし、そんな特典はきっと多くのパリ在住者が享受しているだろうと思って、遅れをとるまいとやや焦りつつ9時過ぎに入館したところ、係りの人以外ホントに誰もいない。
ゴッホもゴーギャンもセザンヌもマネもモネもみんなほぼひとりじめ。(3人くらいお客さんがいました)

時間が止まるというか、透明人間になった気分というか、あるいはテレビや雑誌の特集で、貸し切り状態にして案内役をつとめる女優になった気分というか(あくまで気分)。
夢のような時間が朝におとずれる。週末の早起きは必須である(9時入館のためには8時に起きればいいだけ・・汗)。

静かに豊かな時間を堪能することの贅沢は、早起きはさることながら、いろいろな労力を払うことでかなう場合もある。たとえば少し行きにくいところにある、お金持ちが私財をおしげもなく使って建てた優雅な美術館。少々料金が高くても、満ち足りてたまにはこういう贅沢もいいなという気になる(生まれ変わったらいつか建ててみたい。たぶん現世では宝くじに当たらない限り無理。)。

でも偶然かなうこともある。
昔9.11事件の直後に中東から観光客がどっといなくなったとき、ヨルダンのペトラ遺跡を訪れることがあり、あのインディ・ジョーンズ最後の聖戦の舞台を案内役のヨルダン人と1-2組の他の観光客以外誰もいない中で見たのは壮観で、タイムスリップしたかのような錯覚に陥ったのを思い出した。

その直後にラマダン中の移動がとてつもなく大変なことだと思い知ることになるのだけれど(と同時に、アジア人の女性を親切に助けてくれるヨルダン人たちのやさしさと思いやりも深く身に染みるのだけれど)。この3つはセットでヨルダンの思い出。