2016年6月2日木曜日

お招き

先週末、とても貴重なご縁をいただいて、とある豪邸にランチにお招きいただいた。
いつも、パリの街を歩いていて、高級なアパルトマンを外から眺めては、一目でいいからどんな人がどんな暮らしをしているのか、中に入ってみたいなあとうっとりしていたので、本当にありがたい機会にめぐまれた。

入り口も、エレベーターも、すごく素敵で、玄関の向こうは更に、美術館やギャラリーの中にいるかのような、絵画や調度品の数々で埋め尽くされていて、目で何度シャッターを切ったことだろう。さすがに実際の写真を撮ることは恥ずかしくてできなかった…。
何よりも食事が本当に素晴らしくて、心がこもっていてアットホームな感じでありつつも、センスも良く、さすがプロの丁寧かつ高度なお仕事(料理人は若くて情熱あふれる日本人夫妻、パリの前はナイジェリア(!)で働いていたらしく、パリで沢山の食材に囲まれてお仕事できるのが本当に嬉しいのだとか。そりゃあそうだろう)。
やはり食で人をもてなすということは、こんなにも心をがっちりと掴むものなんだなあと、改めて、久々に感じ入った。


それに大いに刺激を受けて、今週の火曜日に予定していた、私が幹事の食事会、パリ在住で非常にお世話になっている女性の先輩、そしてかわいい女性の後輩、両方と面識のある東京からの出張者の同年代女性がちょうど集まる滅多にない機会だから、外食ではなくうちに来てもらおうかと前から考えてはいたけれど、さすがに平日だし、翌日は会議で割と大きなプレゼンをしなくてはならないし、準備や後片付けなどちゃんと1人でできるだろうかと、自信がなくて踏ん切りがつかなかったのを、思い切ってやっぱりお呼びしよう!と、前日にご案内して来ていただきました。

時間をかけて心を込めて準備すればきっとできると信じて・・。

そういうわけで、火曜の夜に向けて、土曜の朝から準備開始。
毎週土曜恒例のイエナのマルシェで野菜とフルーツをたくさん買い込み、土曜の内に赤パプリカのマリネとひじき煮を保存食として作った。
赤パプリカのマリネは、日本で中華レストランで食べて感動してから見よう見まねで作ってきているものだけれど、オーブンで丸ごとじっくり焼いて皮をむき、保存容器に入れて絞ったレモン汁、白ワイン、はちみつをかけて漬け込む。翌日に食べたら味が足りていなかったので、そういえば入れるのを忘れていたニンニク少々と塩を少し足しておいた。翌々日にまた味見をしたら、ちょっとニンニクが強いかな・・と思ったけれど、当日お出ししたときに食べたらなぜかちょうどよくなじんでいて、やはりマリネというのは3日前くらいから仕込むのがいいということを改めて発見。結果オーライ。
ひじき煮は、いつも作っている自分のお弁当用だけど、他に品数増やすのも面倒くさかったので、そのまま出したら意外に好評。やはり日本の庶民的お惣菜は、海外ならではのありがたさがあるということか。いつも薄味なのだけど、少し濃い目に作っておいたから、3日目でも保存ばっちりきいていたし、人に出すときは少し濃いくらいの味付けの方が素人が作る分にはいいんだろうと、これも改めて認識。

日曜はとにかく部屋を片付けて、掃除をしまくる。いつもこれくらいきれいにしていたらいいのに・・。

月曜は仕事から帰ってきてから、夜にミートローフを仕込む。実はあまり作ったことがなかったミートローフ、案の定焼き加減のコツがわからずにレシピ通り作ったら、焼きすぎたようで少しかたくなってしまったので、失敗。盛り付けとソースでごまかしたけど、これはまだ試行錯誤を重ねなければ。
あとは、デザート(当日買うのが面倒だったので・・)として、豆乳ゼリーを作っておく。あたためてゼラチン入れて冷やすだけなので、寝る直前に作った。

そして、当日の朝、仕事に行く前に早起きをして、毎回人が来るたびに作っているお料理教室で習った魚のタルタルの仕込みをする。もう6回くらいは作ってきているので、さすがに今回は今までで一番よくできた。いろいろ混ぜるのだけど、そのどれも欠けてはダメで(たまに何か入れるのを忘れると間が抜けた感じになる)、あとは茄子の処理が一番ポイント。フランスの茄子は大きくてあくが強いのだけど、それを厚めに輪切りにし、粗塩を多めに振りかけて30分以上おいておく。そうするとびっしょり汗をかくので水分と塩をペーパータオルでぎゅっと抑えながらふきとり、フライパンに油を入れて素揚げする。色よく揚げたところで、取り出して皮を包丁でピーッと剥ぎ取り(これが面白いくらいきれいに取れる)、さいの目に切ってボウルに入れる。
このボウルに、シブレット(アサツキのようなハーブ、玉ねぎの味がする)、パクチー、松の実を刻んで入れておいて、そのまま冷蔵庫へ。そして私は仕事へ。
その日のお昼休みに近所のスーパーでタルタル用の魚を仕入れる。前回買ったときにこの魚やのおじさんに「皮をはぐ」というのをフランス語でなんというか教えてもらった('retirer la peau'という)ので、得意げに言ってみました。魚はスズキ(bar)です、ちなみに。

さて、本番。今回お招きした女性3人と一緒に職場から自宅に帰ってきたので、皿に盛り付け済みで冷蔵庫から出しただけのパプリカのマリネとひじき煮を出しておいて少しまっておいてもらう。飲み物はもってきてもらったので、栓を抜いたりサーブしたりはお任せでやっておいてもらう。テーブルセッティングはちなみに日曜の夜に既にやっておいた。グラス出したり皿出したり結構疲れるので、週末にやっておいて正解。
私は買ってきた魚をとりあえずさいの目に切ってボウルに入れ、さらにレモン汁、ケーパー、ピマンデスペレット(唐辛子のスパイス)、くるみオイルを入れて簡単に混ぜる。それを皿にのせるだけなので、超簡単。みなさんにも大好評。中に何が入っているのか当ててもらったけど、醤油も塩コショーも味付けは何もないということにみんな驚き。塩気は茄子とケーパーだけなんです。本当に天才的なレシピだなあと、いつも毎回感動する私。どんだけ好きなのか。。
あとは、手土産でもらったパテも出して、とりあえず全員テーブルについて乾杯。
こうして前菜的なものを食べてひととおり歓談した後、私は再びキッチンへ。失敗ミートローフをとりあえずレンジであたためて盛り付け、あとはマッシュルームを刻んでブルーチーズ入りのオムレツを作って、二の膳としてテーブルへ。ブルーチーズのオムレツは昔フランスに留学していた頃に教えてもらった料理だけど、卵をもっと多く使うべきだった。大皿で出すなら、人数分+1個くらいの卵でちょうどいいんだろうけど、今回は人数分-1個にしてしまったので・・。

と、まあいろいろありましたが、何とか無事に終わった。
片付けも食洗器が大きいので調理器具含めて全部突っ込むだけで1回で終わるし、平日に人を招くのは初めてだったけど、やりようによってはできるのだということがわかったし、やはり仕事と同じで回数重ねれば段取りとかいろいろ気づくこともあり、多くのことを学べたのでした。
料理もさすがに何回も作ればちょっとずつ上達するので、これからは新しいものに挑戦するばかりではなく、1回失敗したとしてもめげずに同じものを繰り返し作って質を上げることを目指そう。頑張ります。


残った料理を集めて冷蔵庫へ

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