仕事で、しかも弾丸出張だったので、大して街の雰囲気が伝わる写真や、はちきれるほど食べたタイ料理の数々も、あまりにみんなでがっついて食べたので、写真を撮る余裕もあまりなかったのだけど、いやあ濃い正味2日間でした。
タイは、日本人コミュニティがものすごく発達していると聞いていたし、周りにもタイ大好きというかハマっている人も沢山見てきたので、きっと何か惹きつける魅力があるのだろうな、とは思っていたけれど。
日本人がどうこうと言うより、タイ人がタイを大好きなんだということがよくわかったような気がします。
それにしても、不思議な国だった。
つい、今まで行った国と比べてしまうけれど、東南アジアはシンガポールまでしか行ったことがないので、やはり中東との比較。
実は、今回日曜日の朝に着いて半日ほど空き時間があったので、昔目黒に住んでた時に通っていた近所の美容師さんが、今バンコクと東京を行ったり来たりで美容師してるというので、メールで予約を取り、パリに行ってから一度も切っていない髪を何とバンコクで切ってもらった。そこにいたバンコク暦の長い日本人美容師曰く、最初の印象は最悪で、タクシーの運転手が信じられないくらい悪どいぼったくりをするし、二度とこんな国来ないと思ったのだとか。それが、今やタイ人みたいにタイ語ペラペラしゃべっているのだけど…。それを聞いて、思わずもちろんエジプトを思い出しました。陽気に人を騙してくる国民性、ミスをしてもマイペンライ(ノープロブレム。ドンマイみたいな感じ)と言ってくる厚かましさ、なのにというか、だからなのかかなり強権な軍事国家。こ、これはアジアのエジプトか、と。
ちなみに仕事のカウンターパートは役人なのだけれど、トップは軍人出身の大臣。たまたま会議が月曜だったから、毎週月曜は全ての役人が着用を義務づけられているという制服姿で、大臣が部屋に入ってくるとみんな一斉に立ち上がって敬礼、ならぬ合掌(タイ人のお決まりの挨拶ポーズ。これは人の心をくすぐるかわいさがある。)。
その大臣、会議に参加していた唯一の外国人である私を見つけ、いきなりおめでとう!と言ってくる。軍人が何を私に祝福しているのだろうかと、一瞬ドギマギしたけれど、何と、私が日本人だと聞いて、その前日に日本人女子がバドミントンで中国人を破り優勝したという歴史的快挙のことを言ってるらしい。いや、出張先でもつい大相撲の結果が気になってスポーツニュースをこまめにチェックしてたから、私もそのニュース知ってたけれど、、すごい、マニアックすぎるよね⁈スポーツ大好き大臣らしい。というか、バドミントンはアジアの人気スポーツなんですね。
やはり規律の厳しい中にもユーモアを織り交ぜてくるのが、人心掌握術なのかもしれません。
国の比較に少し戻りますが、国の急速発展度合いはやはりエジプトとは比べものにならず、もちろん貧富の差はかなりあるのだけれど、さすがアジア有数の新興国。ビルの建設ラッシュ具合などは湾岸アラブを彷彿とさせるところも。発展とインフラ整備が追いつかず、ものすごい交通渋滞や、特に走っている車の9割くらいは日本車で、高速道路を狭い街中に幾重にも重ねて急ごしらえで作っているのなどを見ると、これは日本の高度成長期かとも見まごう。しかも、タイ人のほとんどは谷村新司の昴を歌えるのだとか。こりゃあ日本のリタイアしたサラリーマン世代が、タイで技術支援などして貢献したくなるわけだ。やっぱり躍動して成長していく国は面白い。
タイは今ちょうど初夏で、学校はすでに夏休み。4月が1年で最も暑くなるのだとか。日中は少し歩くだけで、湿度の高さもあってじとーっと汗ばんでくるし、室内は冷房がガンガン効いているけれど、これが太陽が沈むとともに一気に熱が引いてくる。夕暮れ時、心地よい風が仕事の疲れも癒すのか会社帰りの人で賑わう繁華街、いたるところにある屋台から漂ってくる何とも美味しそうな匂い、開放感たっぷりのテラス形式のレストランも沢山ある。
タイでは、外食が本当に安価で、むしろ食材を買って光熱費をかけて家で少人数のために料理する方が割高なのだとか。時間もとられるし、朝から夜まで平日は屋台も含めてほとんど外食で済ませるらしい。街中に出る予定のない日曜日とかだけ、しょうがないから家で料理するのだとか。外食が高いパリからすると天国のよう。働くお母さんなんか、ホントに助かるだろうな。なんという経済合理性。アベノミクスもこれやったらいいのでは、なんて。そしたら外食産業が困っちゃいますね。
さて、今回は、さすがに屋台を試す時間も勇気もなかったけれど、2日ともタイ人のカウンターパートが、夜食事に招待してくれて、みっちりタイ人とタイ料理を堪能しました。会議の打ち上げも兼ねていたので、総勢20人くらいで、ひたすら料理を注文してみんなでとりわけながら食べまくるという。料理が出てくるスピードもすごいし、みんなの食べるスピードも半端ない。しかもよくしゃべる!弾丸のようにしゃべって食べて笑って、とかなり盛り上がる。
いや、みんなこんな雰囲気で働いてたら楽しいですよね。仕事の話で、タイ政府からパリに人を派遣してインターンとかでもいいから働らかないか、という話が前からあるのだけれど、今回もやっぱり予算もつけてちゃんと検討したんだけど、肝心の行く人が誰もいないのだとか。みんな家族事情とかそれぞれあるけれど、基本的にタイを離れたくないんだよね、と。え、花のパリですよ⁉︎というか、確かにタイ人にとってはここより住み心地のいい場所なんてないのだろうな。3ヶ月でも離れたくないのだとか。どんだけ好きなのか!家族が、とか恋人が、とかじゃなくて、タイを離れたくないということらしい。離れたらまたその良さを実感しますよ、とかいうレベルでもないらしい。
ちなみに、私が知ってるタイ語は8割が食事のメニューだった。何が食べたい?と聞かれて、えーっと、1番好きなのはカオマンガイで、あとはやっぱりヤムウンセンとか、パッタイ、トムヤムクンよりトムカガイが好きかな、あ、ソムタムもいいね。と言ったら、え!タイ語しゃべれるの?とびっくりされました。笑
カオマンガイは、鶏のもも肉を蒸してご飯と食べるものだけど、あれは中国料理で伝統的なタイ料理じゃないよ、とのこと。中国っていうか、シンガポールチキンライスとか、海南鶏飯とかいうものね。でもちゃんと注文してくれました。とにかく何でもすごく美味しかった。庶民の味覚がちゃんとしているところもエジプトみたいかも。あと、次から次へとあれも食べろこれも食べろって皿によそってくるものだから、ホントに動けなくなるかと思うくらいはち切れそうでした。出張前は食事の話なんてしてなかったから、前任者から引き継いだ地球の歩き方で、どこかめぼしいレストランにでも行こうかとも思っていたけれど、全然その必要なかった。しかも、地球の歩き方なんかには絶対載ってないような、結構どこにでもあるような、ファミレスみたいなところだったのだけれど、ホントになんでも美味しかった。きっとタイでは当たり外れとかないのかもしれない。
あと、コップンカーって本当にかわいい言葉だと思う。合掌しながら言うの、言われるよりも自分が言うのが好き。微笑みの国って、タイ人がみんなニコニコしているかと思ってたけれど、もちろんそれもそうだが、自分も微笑んでしまう。
まあ、エジプト要素が大有りだということもちゃんと実感したので、もちろん一筋縄ではいかないが、終わり良ければすべて良しということで、タクシーの運転手に空港で最後、これを言った時に自分がいい気持ちになったので、うん、いい国だった、と。
なお、このタクシーの運転手、最初、お約束で値段ふっかけてこようとしました。きっぱり御断りしたら、笑顔でオッケーって。ダメモトかよ!
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タクシーから撮った街の風景。街中電線がものすごいことになっていた。 |
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