2015年11月26日木曜日

カテドラルと満月

テロ犠牲者の追悼ミサが行われたノートルダム大聖堂。
明日でテロから2週間。
今夜はきれいな満月が照らす中、ノートルダム大聖堂は、静かに光り輝いていていました。

パリの街中は、やっぱり観光客が減っているようだけれど、普通の市民の表情がよりクリアに見られるような気がする。
ヘミングウェイが、パリは移動祝祭日と言っていたけれど、今のパリは地に足をつけて普通の毎日を送るように、静かな落ち着きを見せているのかもしれない。



2015年11月24日火曜日

マスタードイエローの手袋

今季一番の寒い朝。
ドラマチックに空が明けてくる。

思わず電車に乗ってしまおうかと思ったけれど、絶対歩く内に寒さ忘れてむしろ暑くなるはずだと、ストールをぐるぐる耳を覆うように巻いて歩みを進める。

おしゃれなマダム遭遇率が結構高いパッシーの小学校前を過ぎたあたりで、今朝もばっちり決まってるマダム二人発見。

一人は連れてるテリアまでがおしゃれの一部のように、キャメルのチェスターコートに、白のスパッツをキャメルのニーハイブーツに入れて、極めつけはジャストサイズのフェルトの帽子。女優でもこんなにキメて犬の散歩にいかないんでは・・?という感じだけれど、この界隈は普通にうようよいます。

そして思わず見とれてしまったのが、もう一人の颯爽と全身グレーのコーディネートで歩くマダム。グレーのウールのトレンチコートに、グレーのウールパンツ、カシミアリネンっぽい薄いグレーのストールを首に巻いて、グレーのニット帽が外しているようで外していない。もっとも心を奪われたのは、マスタードイエローの革の手袋。
マスタードイエローとグレーの組み合わせ!秋口からなぜかずっと気になっていたけれど、どんぴしゃりなお手本に遭遇した感じ。

マスタードイエローで頭がいっぱいになっている内に、案の定暑くなっていつもの橋を渡る頃にはストール外してコートの前ボタンを開けてちょうどいい。すがすがしい朝。

でも手はとっても冷たくて、手袋が欲しくなる。
あのマダムのような手袋、どこかで出会えますように。

2015年11月21日土曜日

マルシェ

パリというか、フランスの良さをしみじみと感じ、うん、また頑張ろう!という素朴なエネルギーをもらえる場所といえば、マルシェでしょう。
今日は土曜日。イエナのマルシェに久々に行ってきました。



「マダム、アベック・スーシー?」という声があちこちで聞こえるので、日本から来た人は、「え、寿司?」と思ってしまうかもしれないなあ・・なんてアホなことを考えつつ、色とりどりの見たこともないような野菜や果物にうっとりする。


きつーい臭いのチーズが並ぶ乳製品の店や、ウニから舌平目からマグロの切り身までなんでも売ってる魚屋、日本の花の1.5倍くらいはあるだろうという切り花がどっさり積まれた花屋、などなど、見ているだけで本当に飽きない。

さすがにもう何度か来ているので、少しずつ勝手を覚えなくては。周りの人が何を買っているのか、どう選ぶのか、どうお店の人とやりとりするのか、観察に余念がない。

と言いつつ、今日もやっぱりせいぜい野菜を仕入れるにとどまるビギナーな私。


前から買ってみたかった、色とりどりの人参がブーケのようになっているのと、バターと塩をつけて食べたいきれいなラディッシュと、きのこなどを少々。

広げてみるとやっぱり幸せ。




ちなみに、アベック・スーシーというのは、「この他には?」という意味。
最初から全部カゴに入れてレジに持っていく買い方しか知らなかったので、次から次へと考えながら、うーん、これも、あれもと追加型で買うフランスのシステムは、私のような優柔不断にはいいのかもしれない。




2015年11月20日金曜日

秋の桜

秋の桜と書けば、コスモスだけど、今日は秋に咲く桜を見かけました。

ここのところ季節が足踏みをしているようで、葉っぱは落ちても、体感気温的には割とあたたかく。
思えば、8月末に来てから同じユニクロのウルトラライトダウンをどんだけ毎日着ているのか。
もう少し寒くなって、コートとか毛糸のマフラーとか手袋とかの出番を作ってもらってもいいんですよ、と思っていた矢先、今週末から一気に寒くなるらしい。
待ってました!とは言えない寒がりのくせ。

今日もお昼に冷たい雨が降る中、外に出かけて、ぶるぶると少し震えながら歩いてたところ、幻覚か?と一瞬目を疑う光景が。
雨なので誰もいない公園の中庭に、ぼんやりと薄明りが灯ったような白やピンクの花が満開に咲いているではありませんか。
まさか、桜?11月に?

傘をさしながら、ということもありうまく撮れなかったけれど、これはどう考えても桜ですよね。



おそらく、このサイトにあるように、十月桜(Prunus subhirtella ' Autumnalis Rosea')のことではないかと;

花が秋にも開花することから十月桜という。全体の蕾の1/3が10~12月頃に少しずつ開花し、残りの蕾が4月上旬頃に開花する。春の花の方が大きい。花は八重、花弁は10数枚、小輪、白色~淡紅色、縁が薄く紅色になる。

さらに、Telegraphの少し昔の記事では、一年中何度もこのような可憐でけなげな、決してこれ見よがしではなく、花を咲かせ、しかも手入れもしやすくて、小さい庭に植えるにはうってつけの木ですよ!と大絶賛されている。

確かに、ここの公園は3月に通りかかった時にも、こんなかわいい花を咲かせていた。



寒いし、テロの影響でやっぱり少し虚ろな雰囲気の漂うパリ。
健気に咲く秋の桜があってよかった。



2015年11月16日月曜日

日常

13日の金曜日夜に、パリでそれぞれに楽しい夕べを過ごしていた人々を突然襲った凶弾。30分あまりの時間で、10人にも満たない人数による犯行。

未然に防ぎようがなかったのかと思う一方で、未然に防がれたいくつもの計画があったことを知り、安堵とは程遠い気持ちになる。

いつも身近に潜んでいる危険。地震がいつ起きてもおかしくはないし、飛行機がいつ落ちてもおかしくはないし、地上にいればいいのか地下に潜ればいいのか、山に登ればいいのか、下ればいいのか、本当にわからなくなる世の中だとつくづく思う。

万全の対策をしていても巻き込まれる場合もあるし、何も気にせずにあっけらかんと過ごしていてそのまま何事もなく済む場合もあるだろう。


一瞬一瞬が、それぞれ終わりを迎えているのだから、大切に過ごすしかない。
浅はかな私の考えでは、またさらに毎日の食事を見直すくらいしかできないのだろうけれど。


当たり前の毎日を丁寧に過ごすことしかできない。

いつもと変わらない通勤・通学の風景、パン屋で交わす二言三言、果物や野菜を一つずつ選ぶ行為、公共交通機関が普通に動いてくれていること(ストがないというだけではなく)、すべてが当たり前だけれど当たり前ではないと、思うこと。



イギリス人の上司は、「我々は北アイルランドとの抗争でテロには慣れてしまっているところがあるんだよね、残念ながら(sadly)」と話していたけれど、ヨーロッパはある種「いつ何が起きてもおかしくない」という現実を冷静に受け止める土壌ができているのかもしれない。

ただ、冷静でありながらも、現在直面している問題の本質を探ることが求められるのだろう。過去に何か理由の片鱗があったとすれば、そこから目を背けるわけにはいかない。週末のルモンド紙では、「なぜフランスが狙われるのか?」という問題をサイクス・ピコ協定までさかのぼって論じているが、結局は歴史や社会の矛盾に巣食う邪悪なもの、弱みに付け込まれているのだという分析。それは、フランスだけの問題ではないし、誰もが向き合わなくてはいけないのではないかと思う。

9.11が起きたとき、私はエジプトに行ったばかりで、ストリートでは満足な教育など受けていないいわゆる下層の人々が、アメリカをやっつけたぞと祝福ムードで笑い合っていて、テレビの前で起こる悲劇と現実が交錯して世の中がぐにゃりと曲がって見えるようだった。こんなにも理解できないことが世の中にあるなんて。ナイーブだったし、知識も経験も何もなかった。

今も一体何が理解できているのだろうという気がするけれど。





2015年11月9日月曜日

自転車が似合う

ヨーロッパの街は自転車がよく似合う。
古い建物と街並みを照らす朝の光と自転車。

今朝は、雨上がりで、生まれ変わったようなきれいな町でした。どんより雨雲に覆われても、冷たい雨に濡れても、こんな朝が来るなら。そして、自転車で駆け抜ける爽快感を味わえるなら、北ヨーロッパの秋は、pas mal du tout.

パリ・ビラケム橋、通勤途中

オランダ・デルフトの運河にかかる橋


2015年11月8日日曜日

秋晴れ

2週間の最終日、今日が一番穏やかでいいお天気でした。

ベランダで最後のランチ。

お母さんが大量に作ったミートソースの残りと余ったチーズを消費するため、即席ムサカ。中にカマンベール、上にゴーダ。
にんじんとリンゴのサラダを添えて。
日本では、栗原はるみのレシピでにんじんとツナのサラダばかりだったけど、フランスに来るとなぜか、留学時代に友達に教わった、にんじんとリンゴのサラダが食べたくなる。
チーズのおろし器でひたすらにんじんをラペして、リンゴを適当に切って入れて、ドレッシングは、マスタードとレモンと塩とオリーブオイルを攪拌するだけ。やっぱりパンにはこっちの方が合うからかな。

お昼前、腹ごしらえのために散策したブーローニュの森は、秋晴れの日曜日。ジョギングする人がぶつかり合うんじゃないかというくらいの賑わい。

森の中でサンドイッチが食べたいと言うので、朝の残りのバゲットを少しだけ、一口サイズのサンドイッチにして、持って行って、湖畔のベンチで食べてたら、散歩する人が通り際に、
ボナペティ!
と声をかけてくれる。

知らない人同士が気持ちよく過ごせるのは、挨拶のおかげ。こういう気配りのあるフランスだけど、昨日の夜は、アパートの隣人が大音量の音楽をかけて叫けぶように歌ったり、とにかく典型的な若者のパーティー。夜中の12時過ぎに、ピタッと止んだのは、誰か警察に通報したのか、通報されるのを見越してやめたのか…。
そりゃ、私も昔よく騒いでたからなぁという感じで、他の隣人は寛容でいられるのだろうか。今度ぜひ聞いてみたい。





2015年11月5日木曜日

一週間

たった一週間なのに、ちょうど季節の変わり目のようです。
黄色く見事に染まっていた菩提樹も、すでに葉っぱが落ちて禿山ならぬ、禿木になっている。



11月に突入して、一気に冬に向けて疾走していく感じ。


まだあと一週間あると思っていた両親のパリ滞在も、残すところあと3日。


今日のランチは、いつもの、みんな大好き、安心・安定のAu Bon Accueilにて両親を接待。
結局、2週間のパリ滞在で、レストランでの食事は2回だけ。倹約家族というか、どんだけおうちごはん好きなのか。



なので、思う存分味わってもらいました。
メニューを見て、わからなかった単語はどれも魚介類。やっぱり、もっとマルシェで魚介類も積極的に買って調理してみなければ。
このサイトで勉強しようっと↓
http://www.newsdigest.fr/newsfr/features/6355-fish-in-france.html



前菜;
母 栗とマッシュルームのポタージュ
父 フォワグラのテリーヌ
私 ヤリイカ(Encornet)のソテー、野菜添え

メイン;
母 コダラ(Lieu Jaune)のグリル、白インゲン豆と野菜のスープ、コリアンダー風味
父 鴨のロースト
私 ウズラのロースト、カリフラワー添え

デザート;
母・父 ブリオッシュのパンペルデュ、パッションフルーツソース
私 タルトタタン

食後の紅茶で母が頼んだハーブティー(Verveine)がとても美味しくて、ティーバッグのメーカーをメモる。 ➡Comptoir RichardのVerveine Bio



うちの近くに路面店があるらしいので、母が帰る前に行かなくては。