2015年10月12日月曜日

贅沢な時間

たとえば、こんなことができたらいいな(どらえもんか)と思い描くことの一つに、誰もいない美術館にしのび込んで一晩明かす(というのは映画の話)というのがある。そこまでいかなくても、人を見に来たのか絵を見に来たのかわからなくなるのはうんざり、というのはよくあることではないだろうか。

好きかどうかわからないけれど、とにかく有名だから見に来た、というのは自分も含めてやめてほしいなあと(←モナリザだけを見にルーブルに行ったのは私です、はい)。
好きだからなおさら一人でゆっくり静かに見たいという方がもちろん強い。

ただ、まさかそんなことが、世界一の美術館(Trip Advisorの投票では欧州1位、世界2位らしいけれど、恣意的な投票なので、世界一と言っている人もたくさんいるだろう)でできるとは。


オルセー美術館の年間パスを購入すると、通常9時半開館のところが、30分早く9時から入館できるというので、行ってみました。
週末だし、そんな特典はきっと多くのパリ在住者が享受しているだろうと思って、遅れをとるまいとやや焦りつつ9時過ぎに入館したところ、係りの人以外ホントに誰もいない。
ゴッホもゴーギャンもセザンヌもマネもモネもみんなほぼひとりじめ。(3人くらいお客さんがいました)

時間が止まるというか、透明人間になった気分というか、あるいはテレビや雑誌の特集で、貸し切り状態にして案内役をつとめる女優になった気分というか(あくまで気分)。
夢のような時間が朝におとずれる。週末の早起きは必須である(9時入館のためには8時に起きればいいだけ・・汗)。

静かに豊かな時間を堪能することの贅沢は、早起きはさることながら、いろいろな労力を払うことでかなう場合もある。たとえば少し行きにくいところにある、お金持ちが私財をおしげもなく使って建てた優雅な美術館。少々料金が高くても、満ち足りてたまにはこういう贅沢もいいなという気になる(生まれ変わったらいつか建ててみたい。たぶん現世では宝くじに当たらない限り無理。)。

でも偶然かなうこともある。
昔9.11事件の直後に中東から観光客がどっといなくなったとき、ヨルダンのペトラ遺跡を訪れることがあり、あのインディ・ジョーンズ最後の聖戦の舞台を案内役のヨルダン人と1-2組の他の観光客以外誰もいない中で見たのは壮観で、タイムスリップしたかのような錯覚に陥ったのを思い出した。

その直後にラマダン中の移動がとてつもなく大変なことだと思い知ることになるのだけれど(と同時に、アジア人の女性を親切に助けてくれるヨルダン人たちのやさしさと思いやりも深く身に染みるのだけれど)。この3つはセットでヨルダンの思い出。







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