2015年10月23日金曜日

オラネ

ここで、ダジャレを言いたくなるのをぐっとこらえて・・

アプリコットのデニッシュで名前を思い出せなかったのは、「Oranais(オラネ)」でした。

通勤途中にあるパン屋さんで、並ばずに買える唯一のパン屋さん(というのは人気がないということか・・)で、いつも買ってしまう、アプリコットとカスタードがはさんであるデニッシュ。
この形は日本でもたくさん見たことがある気がするし、何の変哲もないものと思っていたのだけれど。名前がちょっと聞きなれないもので気になり、調べてみたら、なかなかに興味深い背景があることがわかりました。




オラネというのは、Oranというアルジェリアにある地名(タンジェとアルジェのちょうど真ん中あたりの地中海に面したアルジェリア第2の都市)から来ており、そこがアプリコットの産地で、植民地時代多くのフランス人入植者が作って食べていたお菓子だとか。アルジェリア戦争終結(1962年)後、ヨーロッパ系住民でフランスに引き揚げた人たちによって、フランス国内に広まったとか。なお、その引揚者を総称して、ピエ・ノワール(pied noir)といういうらしい。直訳すると、黒い足。その由来は不明らしく、フランスの軍人は黒いブーツを履いてるのに対して現地のベルベル人は裸足で戦ったからだとか、船の機関室での作業員は石炭で汚れ、足跡が黒いからだとか諸説あるらしい。

というか、ピエ・ノワールって、有名人がたくさん。
イブ・サン・ローラン、小説家のカミュ、哲学者のジャック・デリダなどなど。

また、オランはライ(Raï)の発祥地だった!
ライとは;「20世紀前半の両大戦間、都市に定住しはじめた遊牧の民ベドウィンの歌謡が、この地を通過したさまざまな音楽文化と混交して成立したものですが、今日のライはアラブ音楽といっても民俗音楽や伝統音楽のイメージからはかけ離れていて、アルジェリア独特の香りを保ちながらも驚くべきモダンな、多彩な音を聞かせてくれます。」
(http://franc-parler.main.jp/Rai.html からの抜粋)

大学の留学時に、ずっと聞いていたCheb Khaled のAïcha。まさにオラン出身の世界的なライ歌手だったのか。。

うーん。たかだかアプリコットデニッシュから、いろいろ世界が広がる。


なぜか固有名詞が気になるこの頃。普通の人はあんまり気にしないのかな。
今日のランチで同僚のノルウェー人(アメリカンフレンチ(どっちもドッグが連想されてしまうけれど)の旦那さんと学生時代からパリに住み続け、英語もフランス語もノンストップでずっと話し続けられる器用なマルチリンガル。仕事も優秀だし、性格も気さくだし、とっても素敵な女性。)に、ビラケム橋の名前の由来を話したら、「15年以上そのふもとにある職場で勤務しているのに、そんな由来があるなんて、まったく知らなかったわ!」と言われてしまった。


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