2015年10月8日木曜日

タルトポンム

りんごを甘く煮てパイで包んで焼くというものが、いつから好きだったかというと、おそらくはるか昔。小学生のときお小遣いで買うおやつはヤマザキパンのアップルパイと決まっていた。なんであんなにリピートしたんだろう・・というくらい。子供の嗜好はホントに保守的というか一途というか。


その後は、大学生でフランスに留学した時、お母さんがエアメールで送ってくれた新聞の切り抜きのレシピでリンゴとサツマイモの甘煮という秋の醍醐味のようなものが無性に食べたくなり、リンゴというよりはサツマイモが食べたかったのだけれど、日本と違って普通に煮ても全然美味しくないフランスのサツマイモが、リンゴと一緒に甘く煮るとリンゴだけの甘さにとどまらず絶妙の変化を添えてくれる名引き立て役のようないい仕事をすることを発見。レーズンを入れたりシナモンを入れたり、いろいろ改良しつつ、なんといってもこれを冷蔵庫で冷やして、朝にフロマージュブランと食べるのが我ながら天才的においしかった。ヨーグルトやアイスクリームではダメで、フロマージュブランでないとはまらない(勝手に)。留学が終わってから、フランスの生活が恋しくなることはたびたびあったけれど、フロマージュブランのない暮らしもその一つだったことは間違いない。

それでも秋が来るとリンゴを煮て、トーストの上に乗せて食べたり、パイシートで包んで焼いたり、ということを繰り返している内に歳を取ってしまったような気もする。
大人になっても変わらず好きなんだなあ。

衝撃的だったのは、数年前に青森に旅行したときのアップルパイのレベルの高さ。弘前にはアップルパイ・マップという市内のパン屋・ケーキ屋の案内図があり、夢中で梯子した。葉とらずりんごのジュースも、文字どおり「今までで一番」美味しいリンゴジュースで、海外に輸出するべきだと一時期熱っぽく周囲に語ってしまっていた。その熱の伝播力というか影響力は全くないんですけどね。



いや、ただ今朝のタルトポンムがおいしかったというだけなんです。りんごがきれいに薄くスライスしてあり見た目も美しい。




実はでもここのパン屋はクロワッサンが絶品。イル・ド・フランスで4番目に美味しいクロワッサンだそう。日本でいえば関東圏で4位!みたいなものか。。





日本のパリ特集誌でも何度も取り上げられているポワラーヌのタルトレットとどっちが好きかと言われれば、やっぱりまだ私はりんごがごろんとして、生地が素朴なタルトレット派だけれど。このまま追及していくと、パリのアップルパイ・マップをいつか作りたくなるのだろうか。

と思ったら、考えることは皆一緒ですでにフィガロで特集してた。2012年に。ポワラーヌは3位。


ストもあるし、役所の仕事は遅いし、歩きたばこは多いし、いろいろ不快なこともあるフランスだけれど、こういうパンを食べると心底脱帽というか、これを生み出す環境すべてに感謝したくなってしまう。






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