2016年6月20日月曜日

念願のバガテル


6月はバラの季節。
ということで、ブーローニュの森の一角にある、「バガテル庭園」に行ってきました。
バラ園が見事だということで有名なバガテル、ちょうど1年前に出張で来たときに、徒歩で行こうとしてあまりに遠くて途中で断念したので、パリに住み始めたら今度こそ行こうと思っていた。

ただ、ちょっとタイミングが遅かったかもしれない。
まだつぼみのバラもたくさんあったけれど、多くは満開を過ぎて朽ち果てた姿をそのままさらしていたり、あと1週間は早く来てたらよかったかな、という感じ。
雨が多かったのも、バラが早くいたんでしまう原因だったかもしれない。
その代わり、緑はジャングルのように勢いが増していた。

でも、バガテル庭園内(ちなみに入園料大人1人6ユーロ)自体あまりに広大で、端から端まで歩こうとすると、軽く2-3時間はかかる。バラ園も、いろんな品種がそれぞれ名前の札とともにかかっているから、じっくり見ていると軽く1時間は過ごせてしまう。
「星の王子さま」(薄紫色の大ぶりなバラでした)とか「アンリ・マティス」(ダークレッドのちょっとシックな色味のバラ)とか、ネーミングセンスに疑問があるものも多かったけれど、クジャクを見たり、ショパンのピアノコンサートのリハーサル風景を見たり(この期間、連日コンサートが開催されているらしい)、それなりに楽しめました。

それにしても、パリ市内から少し離れるだけで、あの喧騒とはまったく無縁の、雄大で優雅な空間が広がっていることにいつも感心してしまいます。






2016年6月12日日曜日

お祭り騒ぎと三重苦のパリ

世界中でニュースになっていたパリの洪水。
今週は雨も上がり、ぐんぐん上昇していた水位も先週末でピークを脱し、干上がってきました。緊急に美術品を避難させたりして大騒動に見舞われ、閉館が続いていたルーブル美術館もおとといから再開したようです。
私もオフィスがセーヌ河に近いので、地下に停めていた車を2−3日避難させられていましたが、無事に戻ることができました。
以下、ビフォーアフターのセーヌ河。


こんなに水位上昇するのは150年ぶりだとかで、ちょうどピーク時くらいには、橋の上は物見遊山の人たちがたくさん写真を撮りにきてたり(私もその一部ですが・・)、パリの人たちは洪水のスリルをどこか楽しんでいるのではないかと思える雰囲気すらありました。

そして洪水問題もピークを過ぎた頃、今週末からサッカーの欧州選手権が始まりました。
ヨーロッパのW杯みたいなもので、フランス全土の試合会場でこれから1ヶ月近くかけてトーナメント方式で戦うのですが、まさにお祭り騒ぎで、パリ市内にはそれぞれのナショナルユニフォームを着た集団がカフェやら通りやらにあふれています。
少し前に開催していたテニスの全仏オープンの時は、まったくパリ市内はそんなに盛り上がりを見せていなかった(連日雨だったし)けれど、サッカーは土砂降りの雨が降ろうが、お構いなしに街全体が熱狂している感じ。
ちょうど金曜の夜は開幕戦で開催国であるフランスの試合があったのだけど、試合終了間際にフランスが勝ち越しの決定的ゴールを決めた瞬間は隣近所から大きな歓声が上がり、それで「ああ、フランスが勝ったのだな」とわかったくらい。

そんな街全体が異様な盛り上がりを見せて、ヨーロッパ中から人が押し寄せてきているようなこのフランスですが、ちょうど同じタイミングで労働法改正に対する一連のストがずっと続いていて(業界を超えて連帯しているので、タイミングを少しずつずらしていろんな業種がそれぞれストを決行している)、今やっているのはゴミ収集車ストと鉄道スト。

私がパリに来てすぐにあったゴミ収集車が1週間来なかったので、ストは年中行事なんだけれど、このお祭り騒ぎで通常よりもゴミが出るというのにホント大迷惑。自分ではできる限りゴミを出さないように気をつけているけれど(臭いが出るので処理した鶏肉の皮はラップにくるんで冷凍庫に入れたり・・)、通りにはあふれかえったゴミ収集箱がずらりと並んでいて、まさにゴミ・ストリート化している。閑静な住宅街なのに・・。

さらに、鉄道ストも決行されていて、TGVとかかなり間引き運転されているとか。こんなかきいれ時なのに。

洪水問題も明日からまた天気が下り坂で雨が続けばいつまた再開するかわからないし、そんなこんなで踏んだり蹴ったり、三重苦のパリです。


2016年6月2日木曜日

お招き

先週末、とても貴重なご縁をいただいて、とある豪邸にランチにお招きいただいた。
いつも、パリの街を歩いていて、高級なアパルトマンを外から眺めては、一目でいいからどんな人がどんな暮らしをしているのか、中に入ってみたいなあとうっとりしていたので、本当にありがたい機会にめぐまれた。

入り口も、エレベーターも、すごく素敵で、玄関の向こうは更に、美術館やギャラリーの中にいるかのような、絵画や調度品の数々で埋め尽くされていて、目で何度シャッターを切ったことだろう。さすがに実際の写真を撮ることは恥ずかしくてできなかった…。
何よりも食事が本当に素晴らしくて、心がこもっていてアットホームな感じでありつつも、センスも良く、さすがプロの丁寧かつ高度なお仕事(料理人は若くて情熱あふれる日本人夫妻、パリの前はナイジェリア(!)で働いていたらしく、パリで沢山の食材に囲まれてお仕事できるのが本当に嬉しいのだとか。そりゃあそうだろう)。
やはり食で人をもてなすということは、こんなにも心をがっちりと掴むものなんだなあと、改めて、久々に感じ入った。


それに大いに刺激を受けて、今週の火曜日に予定していた、私が幹事の食事会、パリ在住で非常にお世話になっている女性の先輩、そしてかわいい女性の後輩、両方と面識のある東京からの出張者の同年代女性がちょうど集まる滅多にない機会だから、外食ではなくうちに来てもらおうかと前から考えてはいたけれど、さすがに平日だし、翌日は会議で割と大きなプレゼンをしなくてはならないし、準備や後片付けなどちゃんと1人でできるだろうかと、自信がなくて踏ん切りがつかなかったのを、思い切ってやっぱりお呼びしよう!と、前日にご案内して来ていただきました。

時間をかけて心を込めて準備すればきっとできると信じて・・。

そういうわけで、火曜の夜に向けて、土曜の朝から準備開始。
毎週土曜恒例のイエナのマルシェで野菜とフルーツをたくさん買い込み、土曜の内に赤パプリカのマリネとひじき煮を保存食として作った。
赤パプリカのマリネは、日本で中華レストランで食べて感動してから見よう見まねで作ってきているものだけれど、オーブンで丸ごとじっくり焼いて皮をむき、保存容器に入れて絞ったレモン汁、白ワイン、はちみつをかけて漬け込む。翌日に食べたら味が足りていなかったので、そういえば入れるのを忘れていたニンニク少々と塩を少し足しておいた。翌々日にまた味見をしたら、ちょっとニンニクが強いかな・・と思ったけれど、当日お出ししたときに食べたらなぜかちょうどよくなじんでいて、やはりマリネというのは3日前くらいから仕込むのがいいということを改めて発見。結果オーライ。
ひじき煮は、いつも作っている自分のお弁当用だけど、他に品数増やすのも面倒くさかったので、そのまま出したら意外に好評。やはり日本の庶民的お惣菜は、海外ならではのありがたさがあるということか。いつも薄味なのだけど、少し濃い目に作っておいたから、3日目でも保存ばっちりきいていたし、人に出すときは少し濃いくらいの味付けの方が素人が作る分にはいいんだろうと、これも改めて認識。

日曜はとにかく部屋を片付けて、掃除をしまくる。いつもこれくらいきれいにしていたらいいのに・・。

月曜は仕事から帰ってきてから、夜にミートローフを仕込む。実はあまり作ったことがなかったミートローフ、案の定焼き加減のコツがわからずにレシピ通り作ったら、焼きすぎたようで少しかたくなってしまったので、失敗。盛り付けとソースでごまかしたけど、これはまだ試行錯誤を重ねなければ。
あとは、デザート(当日買うのが面倒だったので・・)として、豆乳ゼリーを作っておく。あたためてゼラチン入れて冷やすだけなので、寝る直前に作った。

そして、当日の朝、仕事に行く前に早起きをして、毎回人が来るたびに作っているお料理教室で習った魚のタルタルの仕込みをする。もう6回くらいは作ってきているので、さすがに今回は今までで一番よくできた。いろいろ混ぜるのだけど、そのどれも欠けてはダメで(たまに何か入れるのを忘れると間が抜けた感じになる)、あとは茄子の処理が一番ポイント。フランスの茄子は大きくてあくが強いのだけど、それを厚めに輪切りにし、粗塩を多めに振りかけて30分以上おいておく。そうするとびっしょり汗をかくので水分と塩をペーパータオルでぎゅっと抑えながらふきとり、フライパンに油を入れて素揚げする。色よく揚げたところで、取り出して皮を包丁でピーッと剥ぎ取り(これが面白いくらいきれいに取れる)、さいの目に切ってボウルに入れる。
このボウルに、シブレット(アサツキのようなハーブ、玉ねぎの味がする)、パクチー、松の実を刻んで入れておいて、そのまま冷蔵庫へ。そして私は仕事へ。
その日のお昼休みに近所のスーパーでタルタル用の魚を仕入れる。前回買ったときにこの魚やのおじさんに「皮をはぐ」というのをフランス語でなんというか教えてもらった('retirer la peau'という)ので、得意げに言ってみました。魚はスズキ(bar)です、ちなみに。

さて、本番。今回お招きした女性3人と一緒に職場から自宅に帰ってきたので、皿に盛り付け済みで冷蔵庫から出しただけのパプリカのマリネとひじき煮を出しておいて少しまっておいてもらう。飲み物はもってきてもらったので、栓を抜いたりサーブしたりはお任せでやっておいてもらう。テーブルセッティングはちなみに日曜の夜に既にやっておいた。グラス出したり皿出したり結構疲れるので、週末にやっておいて正解。
私は買ってきた魚をとりあえずさいの目に切ってボウルに入れ、さらにレモン汁、ケーパー、ピマンデスペレット(唐辛子のスパイス)、くるみオイルを入れて簡単に混ぜる。それを皿にのせるだけなので、超簡単。みなさんにも大好評。中に何が入っているのか当ててもらったけど、醤油も塩コショーも味付けは何もないということにみんな驚き。塩気は茄子とケーパーだけなんです。本当に天才的なレシピだなあと、いつも毎回感動する私。どんだけ好きなのか。。
あとは、手土産でもらったパテも出して、とりあえず全員テーブルについて乾杯。
こうして前菜的なものを食べてひととおり歓談した後、私は再びキッチンへ。失敗ミートローフをとりあえずレンジであたためて盛り付け、あとはマッシュルームを刻んでブルーチーズ入りのオムレツを作って、二の膳としてテーブルへ。ブルーチーズのオムレツは昔フランスに留学していた頃に教えてもらった料理だけど、卵をもっと多く使うべきだった。大皿で出すなら、人数分+1個くらいの卵でちょうどいいんだろうけど、今回は人数分-1個にしてしまったので・・。

と、まあいろいろありましたが、何とか無事に終わった。
片付けも食洗器が大きいので調理器具含めて全部突っ込むだけで1回で終わるし、平日に人を招くのは初めてだったけど、やりようによってはできるのだということがわかったし、やはり仕事と同じで回数重ねれば段取りとかいろいろ気づくこともあり、多くのことを学べたのでした。
料理もさすがに何回も作ればちょっとずつ上達するので、これからは新しいものに挑戦するばかりではなく、1回失敗したとしてもめげずに同じものを繰り返し作って質を上げることを目指そう。頑張ります。


残った料理を集めて冷蔵庫へ

2016年5月23日月曜日

雨の5月

早いものでもう5月も末ですが・・前半はお天気が良くて、ふさふさとした街路樹の緑が眩しい陽の光をやわらげてくれるのがとても心地よく、この調子じゃ夏もすぐそこかと思っていたけれど、ここへ来て下り坂。
先週末から雷とともにどしゃぶりの雨が夜ごと降ったり、日本でも放映されている全仏オープンが雨で試合が順延になったりと、今週はなかなか晴れ間を見せてくれないようです。
おかげで週末路上駐車していた車はすっかり全身きれいに水洗いできたのですが、やはり早くまた晴れた日に窓を全開にしてドライブしたい。

お天気が悪いと気分が滅入りがちですが、やはり元気の源はマルシェ。
最近は毎週土曜日の朝にパリで一番美しいというか高級住宅地にあるイエナのマルシェに、車で横づけして、1週間分の野菜や果物をたくさん買うというのが習慣になってきました。
家から歩いていくと30分くらいかかるし、公共交通機関を使うのもなかなか面倒だな・・と思っていたのですが、車で意外に横づけできる(出入りが激しいので意外に路上駐車のスペースがすぐに見つかる)というのを発見し、それからはまっている。。ホントに車人間になってしまった。。

春のマルシェはやはりお花の勢いもすごくて見ているだけで癒されるし(いつも見るだけで結局買わない・・)、春野菜や果物も、旬が割と短いので今まさに食べなくては!という意識も高まり、ここ数週間は毎回ひたすら白アスパラとかグリーンピースとかイチゴやプラムを必ず買っています。

白アスパラは、ゆで方がやはりちょっと難しくて、いつも微妙に茹で足りなかったり茹ですぎていたりで、ちょうどよくなるにはもっと修行が必要ですが、そのゆで汁を使わない手はないということを最近知り、こないだはリゾットを作りました。
白アスパラをゆでるときは、ピーラーでむいた皮や下の方の茎も一緒にゆでるそうで、(あと塩とレモンとあと場合によってはバターなど)それによってとっても風味豊かな出汁が出るのです。
確かにリゾットは適当に洋風おじや的な感覚で作っただけですが、みじん切りの玉ねぎとマッシュルーム、生のグリンピースをこの茹で汁で一煮立ちさせ、そこに冷めたご飯を投入し、最後に生クリームをどばっと入れてパルメザンチーズをどばっとすりおろして入れただけで、塩はあまり入れていないのに、とってもいい味でした。

もちろん、何よりもこの茹でたての白アスパラのジューシーさといったら、野菜の王様のような感じで、ヨーロッパの人たちが春にこぞってこればっかり食べているというのが、ここへ来て改めて大いにうなずけます。

と言いつつも、週の大半はマルシェの後にいつも寄る韓国食材やで仕入れる納豆、豆腐、油揚げ、豚薄切り肉、もやし、などで作るアジア飯(昨日は春巻きを大量に作った)なので、必ずしもフランス飯を十分堪能しているとは言えないのですが・・。


5月のマルシェ
グリーンピース&マッシュルームリゾット

2016年5月16日月曜日

3連休

今週末は、月曜日がフランスの祝日のため、3連休。
土日に運転手兼ガイドのようなことをして疲れたので、月曜は休息デーとしてちょうどよかった。

土日は昔お世話になった上司がパリに来られたので、同じ上司にお世話になった人がたまたま今パリに私を含め3人いるのでみんなで集まりフレンチを食べに行きました。
私は車を出したので、送り迎えや半日観光ツアー(といっても、アラブ世界研究所やオルセー美術館にお連れしただけなのだけど・・)の運転手兼ガイドをさせてもらって、日頃のパリ運転術の蓄積を少し発揮することができたかな、なんて。

フレンチは星付きではないけれどなかなか美味しいレストランで、私のレパートリーがだんだん最近マンネリ化してきているので、もう一人に選んでもらったところだったのですが、なんとその人(男性)が食事ももう終わりあとはデザートが来るだけというタイミングで、顔を手で覆って気分が悪そうだなと思った次の瞬間に椅子から転げ落ちてぶっ倒れて失神してしまったのです。
いわゆる急性アルコール中毒というもので、顔面蒼白で意識も飛んでいるし手が痙攣しているし、突然のことにみんなびっくり。そんなにアルコールの量は多くなかったのだけど、あまり元々強い人ではなかったようで、あとから聞いたらぶっ倒れるのは人生で3度目なのだとか。
みんなで一応介抱して一瞬は意識を取り戻したのだけど、またすぐに倒れてしまって、どうしようと若干オロオロしかけていた私たちですが、お店の人の対応は100点満点以上の素晴らしいものだった。倒れた瞬間に飛んできて介抱を手伝ってくれ、倒れたところを抱きかかえて少し冷たい空気にあたらせるために外のテラス席に連れ出してくれて、そうした力仕事をしつつ、携帯片手にすぐ救急車を呼んでくれて、「この状態では帰せないので救急車を呼んだ。とりあえず見てもらったほうがいい、あと5分でくるから」と困っている私たちをリード、確かに10分と経たないうちに救急車もすぐにきて、駆け付けた救急隊員にお店の人が一部始終を全部説明してくれて、まあ見事な対応ぶりだったのです。

フランス人のサービスの悪さはほとんど一般的なネタになっていますが、こういう火事場というか緊急時の対応って、本当の底力というか実態があらわれると思うのだけど、そのあとの病院でのスタッフの対応とか設備とかも含めて、かなり感心というか、フランスを改めて見直したのでした。まあたまたまピカイチの対応をする人たちにあたったからかもしれないけれど、病人や困っている人を助けるのは一応フランスの「自由・平等・友愛」の精神を体現しているのかもしれない!とはちょっと大げさでしょうか。。

レストランでも他のお客さん(ほとんどフランス人)が、お節介かというほどに、「絶対病院行ったほうがいいわよ、あとで手遅れになってしまうわよ」と言ってきたりとか、日本だとちょっとヒソヒソいうくらいなのかもしれないけれど、無関心ではいられない人たちというのがよくあらわれていた気がする。こちらとしては、お騒がせして本当にすみません、と恐縮しきりだったのだけど、そういうことは逆にまったく意に介せず、という感じで救急車が去ったあとは何事もなかったかのように食事を続けていました。

ちなみに上司とお会計をすませてあとから病院にかけつけると、倒れた人はすっかり回復していて、まったく大事には至らなかったのですが、なんでも今日は夜が重たいフレンチだからということで、お昼ご飯を抜いていたらしく、その空きっ腹にシャンパンやら最初に飲んだのがいけなかったらしい。私なんて運転するからそもそもアルコールは飲まなかったけど、昼もばっちり残り物で雑炊作ってお腹膨らませてきたのに。。(案の定、食事のあとはまたはちきれそうになるくらい苦しくて、私こそお昼を抜けばよかったのだ)
事件が起こる前に食べていた絶品のブイヤベース



翌日、ケロッとなおったその人と一緒に上司をオルセー美術館に案内し、かなりじっくり見る人だったので、何度も通っているとはいえ、私も改めて発見することとかあり、やはり何度でも名画というのは見るべきだと思いました。

今回は、冬に訪れた断崖絶壁のエトルタをモデルにした有名なクールベとモネの絵を写真におさめてきました。夏になったらまた行きたいな(ものすごい混雑だろうけれど)。


クールベのエトルタ

モネのエトルタ

2016年5月8日日曜日

夏にひとっ飛び


日本からゴールデンウィークの休暇を使って友達が遊びに来ていた1週間。
お天気がとても良くて1度も雨も降らなかったし、特に後半は夏日ともいえるような日差しが照りつけ、こないだ冬に逆戻りしたと思ったばかりなのに、春を通り越して一気に夏になったかのよう。

と言っても、日陰は涼しいし、風が吹くとむしろ寒いくらいだけど、今から日差しがこんなに強烈だと、本当の真夏はどうなってしまうのかと、少し思いやられます。

パリは職場も家もエアコンついてないし。。

さておき、友達の滞在中、1日お休みをもらって少しパリ郊外に足を伸ばしてきました。
一つは有名なシャルトルの大聖堂。パリから車で1時間半くらい。
まだ行ってなかったのかというくらい、パリ近郊の観光スポットとしては有名なのだけれど、この機会に行けてよかった。
お天気もすばらしかったし、大聖堂のステンドグラスは聞きしにまさる、美しいシャルトル・ブルーに圧倒されました。





数あるステンドグラスの中でもこちらのブルーが特に素晴らしい、らしい

そして、もう1箇所はパリから車で20分ほどのとても素敵なソー公園(Parc Sceaux)というところに。桜の名所だというので、前から来たいと思ってたのだけど、伸ばし伸ばしになってこの機会に。桜はさすがにもう終わりかけだったけれど、かろうじて残っていて、今年唯一のお花見ができました。
ルイ14世の宰相コルベールのお屋敷だったようで、そのお屋敷というかお城の目の間には広大なフランス式庭園が非常によく整備されて広がっていて、そんな優美で由緒正しい公園なのに、市民に完全無料開放(朝7時半から夜9時半まで開いている)されていて、フランスはやはり偉大だなあと感心してしまった。庭園内は犬の散歩やジョギングする人たちでいっぱい。犬を連れてるかジョギングしてるかのどっちかしかむしろいないくらいで、老人以外で単にそぞろ歩きしているような人は私たち以外見当たらないほどだった・・。


ヴェルサイユにも実はまだ行っていないので、暑くなりすぎないうちに早く行かなくては。





2016年4月27日水曜日

冬に逆戻り

パリは先週からまたまた学校の2週間休みに入り、職場もまばらな状態(本当にオンとオフの切り替えがすさまじい)。
春到来、ということで南仏に出かけたりバカンスモードの人たちもいるけれど、パリは生憎のお天気が続いていて、なんと今日は雪が!
4月も終わるというのに、雪が降るなんて。。
花びらではなく、雪です


道理で朝出るときに思わず「さむっ」と声に出さずにいられないほど、コートにマフラーをぐるぐる巻いたりと、ほとんど冬に逆戻りしたかのようです。

新緑だけは目にまぶしいのだけれど、気温がなかなか上がらず、ああ一体春はいつ来るのか、ととことん焦らされている感じです。

先々週スーパーで5ユーロで買ったチューリップがきれいに咲いたので、先週晴れた日にベランダに(写真撮影のため)飾ったときは、これで一気に春だ!という予感がしていたのに。。



そういえば、まったく前後の脈絡もなく、どうでもいいネタですが、フランスのマクドナルドにこないだ初めて行ったところ、タッチパネル式の注文がかなり普及していて、これがものすごい効率的だったのに感動しました。

フランスは高速道路のサービスエリアでもコーヒーなどが同じタッチパネル式で、駅の券売機やガソリンスタンドもそうだし、高速料金支払いに至っては、なんと暗証番号を入れなくてもいい(クレジットカードを入れると1秒で出てきて、料金が引き落とされている)仕組み。

マクドナルドも注文してカード入れてレシートが出てきてカウンターに行くと1分と待たずに出てきた(たまたまかもしれない)。行政やサービスなど人間がやるとものすごく遅くてイライラすることばかりだけれど、機械にやらせるとこんなに効率的だなんて、、フランスを象徴しているかのようで少し笑えるけれど、実際は笑えない話なのかもしれない。









2016年4月17日日曜日

コンサート

かなり久しぶりにコンサートに行ってきました。

テアトル・シャンゼリゼ

一昨日くらいに定期的に来るコンサート情報のメールを見ていたら、普段はあまりやらない週末に良さそうなコンサートがあったので、急遽1番安い席(18ユーロ)をネットで予約して行ってきました。
ヨーロッパではとても有名な日本人ピアニストの内田光子さん。
ベルク(知らなかった)、シューベルト、モーツァルト、シューマンというラインナップ。
ちなみに同じラインナップを2月にNYのカーネーギーホールで演奏したらしく、そのレビュー記事がニューヨークタイムズ紙に載っていたのを、帰ってきてから読みました。若干辛口な記事だったので、行く前に読まなくてよかったかも。。

シューベルトは昔ピアノを習っていた時に練習曲として割とよく弾いていた4つの即興曲。
コンサートの前に幾つか内田さんのインタビュー記事などを読んで行ったので、彼女が外交官の娘として10代前半に滞在したウィーン、そこから一人残って何十年も暮らし、第一線でピアニストとして活躍するまでに非常に多くの葛藤や苦労があったということなど(特に日本人の音楽家がヨーロッパで活躍することの敷居が今とは比べ物にならないほど高かったということなど)を思い浮かべながら、今まさに彼女は国籍や時代や何もかもを超越して、ウィーンの宮廷で演奏されていた音楽そのものを再現されているのだという感動に浸ろうとしていたら、、まさかの、いや案の定というべきか、楽章が終わる度に拍手してしまう観客が。
うーん、パリはウィーンとは違って音楽の民度が低いのか…。まあでも、拍手したくなる気持ちもわかるし、なんでいけないの?くらいに拍手した人は思っているだろうし。でもやっぱり調子が狂っちゃうよなあ。
内田光子さんも、ガクッとしただろうな、ていうか慣れているのだろうけど。
もしかしたらでもすごくプライドの高い演奏家は、こんなレベルの低い観客のいるコンサートホールではあまり演奏したくないと思ってしまってもおかしくないのかもしれない。
テアトル・シャンゼリゼは一応とても由緒正しく伝統的なコンサートホール(でも古すぎて椅子は狭くて硬いし、音響もどうなんだろう、そんなに素晴らしいとは言えないのかも・・)で、ロンティボー国際コンクールの会場になったりもしているのだけれど。まあ拍手くらいでガタガタ言うなってことだろうか。

なお、圧巻は最後のシューマンのピアノソナタだった。
最初から最後まで息つく間もないほど、ものすごい集中力というか、念力というか、ほとばしっていた。

シューマンのピアノ協奏曲が無性に聴きたくなる。次はやっぱりオケ付きのコンサートに行きたいと思う。


2016年4月13日水曜日

咲いた


オランダで買った球根のチューリップ、きれいに咲きました。

夏時間になり、日も長く、街路樹の新芽も一気に芽吹いてきて、いよいよ春めいてきました。
とはいっても、まだ寒くてコートが手放せないし、冷たい雨など降るとじめじめして全然春気分にはならないですが、ようやく少しずついい季節に近づいているようです。

同僚が言っていたけれど、パリは冬は中途半端に寒くて、それがでも結構長く続くから滅入ってしまいがち、でも春は本当に心待ちにしていた季節でここからが最高なのさ、とのこと。

なるほど、私が冬の真ん中くらいに、「こんなんでもう冬終わるのかな」と、思っていたことはあながち間違いではなかったのだ。
そしてミモザの花を見たあたりから、みんなやっぱり春を心待ちにしていたのね。。
あそこからが結構長かったけれど。




2016年4月8日金曜日

日本のイメージ

先日、フランス政府主催の会議があり、そのオフィスがあるラ・デファンスという地区に行ってきました。
凱旋門から一直線につながる道の先にある近郊の新都心で、パリ市内ではあまり見かけない高層ビルが沢山そびえ立っています。そして、新凱旋門といわれるのが、デファンス門。無機質な凹を逆さにした形のビル。実は初めてそのふもとに行ったのだけれど、あまり感慨はなく。。
ただ、少しビビったのがこのオブジェ。
親指・・?


これは一体・・?趣味が悪いとしか言えないのだけれど、フランス人がこんなものを許容するなんて、さすが新都心だなあと。
ただデファンス駅の通勤風景は少し壮観でした。久々にオフィス街のラッシュアワーを見たという感じで、やはりパリは大都会だなあと改めて思い知ったというか。少しニューヨークのグランドセントラルとかを彷彿とさせるような。

さて、その会議で二日間みっちり一緒だったフランス人とフィンランド人とベルギー人と食事の席などで雑談したときに出た日本の話題について。

フィンランド人以外は日本に行ったことがなくて、フランス人は日本を夢の国だと思い描いているようで、いつか絶対に行きたい・・でも行ってしまうと帰ってきたくなくなるんじゃないかと怖いんだって(真顔)。ベルギー人はちょっと変わった人で、極度の飛行機恐怖症で海外は極力地続きのところ(電車で行けるところ)しか行かないようにしているので、日本は行きたいけれどちょっと・・。と言いつつ、誰よりも実は日本の地理や歴史に通じていて、活火山があるんでしょう、阿蘇山とか・・でもいつ噴火するかわからなくて怖いよね?とか、日本で最近オウムの活動はどうなの?麻原はまだ死刑執行されていないの?と聞いてきたり・・ちょっとリスク情報オタクなのか、少しでも脅威があるようなネタを集めているのかもしれない。
その延長でフランス人が言っていたことで少し考えさせられたのは、フランスではテロが最近あったけど、自分はもし何かに巻き込まれて死ぬとしたら、自然災害よりもテロの方がいいような気がする、だってテロだと憎むべき相手がいるけれど、自然災害だとその無念をぶつける相手がいないじゃないか、だって。そんな考えもあるのか、日本人ではきっとこんな考えの人は少ないだろうなと感じたのでした。自然に対する畏怖の念がしみついているからかもしれない。

ちなみに、フィンランド人はまさにサンタクロースみたいな風貌の人で、笑い声がHo ho hoにしか聞こえなかったし、話し方もおっとりしていて、けれど日本で一番関心したのは秋葉原だったとのこと。秋葉原で買った電化製品は本当に素晴らしかったと、熱く語っていました。そうだ、Nokiaの国でもあったのだ。

でも感心したのは、みんなで食事の場所まで一度タクシーを使ったときに、私が建て替えて、翌日請求しようと思っていたら、フィンランド人だけが何も言わずに翌日スッと自分の代金を差し出してきたこと。やはり育ちがきっちりしているのだろうなと、まあ日本人なら当たり前の律儀さかもしれないけれど、欧米では結構厚かましい人が多いので少しホッとしました。

こういう些細なところにお国柄が出たりするものだから、自分も少しでも日本のイメージを悪くしないよう、日頃の言動に気を付けようと思う。(一応仕事の期限は守るけれど時間にルーズなところがだんだんばれつつあり、そこはアラブのせいにしてしまっている・・)





2016年4月3日日曜日

あっという間に4月

3月は本当に忙しくて、というか仕事で次から次へと割と重たい課題が降ってくる感じで、とりあえず何とかこの山を越すことを心待ちにしていたのですが、4月になってもそれほど一気に余裕になるわけでもなく、自分の能力というかキャパシティが足りない中でどれだけ形になるように持っていくかということに苦心する毎日です。
やはり1年目の職場というのはどこでもそういうもんだろうとはわかっているし、その中でも周りの同僚や上司には本当にあたたかくサポートしてもらっていてありがたい限りなのだけれど、当たり前だけれどそんなに簡単にレベルアップできるわけでもないということがちょっともどかしい。
英語もフランス語も見違えるように上手くなるということも決してないし。そりゃあ努力しなきゃダメだし努力したってそんな手応え滅多につかめないのだから。焦らずコツコツがんばるしかないのだけれど。。

今のところちょっと目に見えて上達したなと思うのは、車の運転くらいか・・。縦列駐車はまだ完全マスターレベルには程遠いけど、3回に1回くらいは、ピタッとはまるようになって、やっぱり回数重ねてきたことは確実に身についている気がする。あと、最初は「恐怖の凱旋門」と決めつけて、絶対に自分では渡れないロトンドだと思っていたけれど、パリの交通の要衝で避けて通る方が無理。今週末もパリはマラソン大会でかなり街中交通規制が敷かれている中、凱旋門につながる環状線道路の何本かは閉鎖されていなかったので、結局移動は全て凱旋門経由に。もちろん決して油断するわけではなく、今も若干ドキドキしながら通るのだけれど、なんとなくコツがわかってきたのは、コツなんてないというか、ルールなんてない!ということ(笑)。それはもう、エジプトで運転してきたことがここに来て体が覚えていたという感じで、とにかくぐちゃぐちゃなカオス状態を切り抜ける動物的勘みたなものに頼るしかない。注意を研ぎ澄ましていけば何とかなるもの。

あと最近は、日本の桜が恋しくなるとともに日本の味も恋しくなり、桜はとても日本のソメイヨシノのあふれんばかりの降りしきるような素晴らしい光景には決してお目にかかれないけれど、せめて味は何とか自分で作れるものは作ろうと思って、豚の角煮、鴨南蛮、かき揚げ丼などなど少しずつこっちでも作れるものリストを増やしつつある。次に挑戦しようと思っているのはカツ丼。
職場から見える桜のような木
かき揚げ丼(冷凍シーフードミックスと玉ねぎとインゲンを揚げてめんつゆにつけて乗っけただけ・・)





2016年3月16日水曜日

初めてのタイ

仕事で、しかも弾丸出張だったので、大して街の雰囲気が伝わる写真や、はちきれるほど食べたタイ料理の数々も、あまりにみんなでがっついて食べたので、写真を撮る余裕もあまりなかったのだけど、いやあ濃い正味2日間でした。
タイは、日本人コミュニティがものすごく発達していると聞いていたし、周りにもタイ大好きというかハマっている人も沢山見てきたので、きっと何か惹きつける魅力があるのだろうな、とは思っていたけれど。
日本人がどうこうと言うより、タイ人がタイを大好きなんだということがよくわかったような気がします。
それにしても、不思議な国だった。
つい、今まで行った国と比べてしまうけれど、東南アジアはシンガポールまでしか行ったことがないので、やはり中東との比較。 
実は、今回日曜日の朝に着いて半日ほど空き時間があったので、昔目黒に住んでた時に通っていた近所の美容師さんが、今バンコクと東京を行ったり来たりで美容師してるというので、メールで予約を取り、パリに行ってから一度も切っていない髪を何とバンコクで切ってもらった。そこにいたバンコク暦の長い日本人美容師曰く、最初の印象は最悪で、タクシーの運転手が信じられないくらい悪どいぼったくりをするし、二度とこんな国来ないと思ったのだとか。それが、今やタイ人みたいにタイ語ペラペラしゃべっているのだけど…。それを聞いて、思わずもちろんエジプトを思い出しました。陽気に人を騙してくる国民性、ミスをしてもマイペンライ(ノープロブレム。ドンマイみたいな感じ)と言ってくる厚かましさ、なのにというか、だからなのかかなり強権な軍事国家。こ、これはアジアのエジプトか、と。
ちなみに仕事のカウンターパートは役人なのだけれど、トップは軍人出身の大臣。たまたま会議が月曜だったから、毎週月曜は全ての役人が着用を義務づけられているという制服姿で、大臣が部屋に入ってくるとみんな一斉に立ち上がって敬礼、ならぬ合掌(タイ人のお決まりの挨拶ポーズ。これは人の心をくすぐるかわいさがある。)。
その大臣、会議に参加していた唯一の外国人である私を見つけ、いきなりおめでとう!と言ってくる。軍人が何を私に祝福しているのだろうかと、一瞬ドギマギしたけれど、何と、私が日本人だと聞いて、その前日に日本人女子がバドミントンで中国人を破り優勝したという歴史的快挙のことを言ってるらしい。いや、出張先でもつい大相撲の結果が気になってスポーツニュースをこまめにチェックしてたから、私もそのニュース知ってたけれど、、すごい、マニアックすぎるよね⁈スポーツ大好き大臣らしい。というか、バドミントンはアジアの人気スポーツなんですね。

やはり規律の厳しい中にもユーモアを織り交ぜてくるのが、人心掌握術なのかもしれません。

国の比較に少し戻りますが、国の急速発展度合いはやはりエジプトとは比べものにならず、もちろん貧富の差はかなりあるのだけれど、さすがアジア有数の新興国。ビルの建設ラッシュ具合などは湾岸アラブを彷彿とさせるところも。発展とインフラ整備が追いつかず、ものすごい交通渋滞や、特に走っている車の9割くらいは日本車で、高速道路を狭い街中に幾重にも重ねて急ごしらえで作っているのなどを見ると、これは日本の高度成長期かとも見まごう。しかも、タイ人のほとんどは谷村新司の昴を歌えるのだとか。こりゃあ日本のリタイアしたサラリーマン世代が、タイで技術支援などして貢献したくなるわけだ。やっぱり躍動して成長していく国は面白い。

タイは今ちょうど初夏で、学校はすでに夏休み。4月が1年で最も暑くなるのだとか。日中は少し歩くだけで、湿度の高さもあってじとーっと汗ばんでくるし、室内は冷房がガンガン効いているけれど、これが太陽が沈むとともに一気に熱が引いてくる。夕暮れ時、心地よい風が仕事の疲れも癒すのか会社帰りの人で賑わう繁華街、いたるところにある屋台から漂ってくる何とも美味しそうな匂い、開放感たっぷりのテラス形式のレストランも沢山ある。
タイでは、外食が本当に安価で、むしろ食材を買って光熱費をかけて家で少人数のために料理する方が割高なのだとか。時間もとられるし、朝から夜まで平日は屋台も含めてほとんど外食で済ませるらしい。街中に出る予定のない日曜日とかだけ、しょうがないから家で料理するのだとか。外食が高いパリからすると天国のよう。働くお母さんなんか、ホントに助かるだろうな。なんという経済合理性。アベノミクスもこれやったらいいのでは、なんて。そしたら外食産業が困っちゃいますね。
さて、今回は、さすがに屋台を試す時間も勇気もなかったけれど、2日ともタイ人のカウンターパートが、夜食事に招待してくれて、みっちりタイ人とタイ料理を堪能しました。会議の打ち上げも兼ねていたので、総勢20人くらいで、ひたすら料理を注文してみんなでとりわけながら食べまくるという。料理が出てくるスピードもすごいし、みんなの食べるスピードも半端ない。しかもよくしゃべる!弾丸のようにしゃべって食べて笑って、とかなり盛り上がる。
いや、みんなこんな雰囲気で働いてたら楽しいですよね。仕事の話で、タイ政府からパリに人を派遣してインターンとかでもいいから働らかないか、という話が前からあるのだけれど、今回もやっぱり予算もつけてちゃんと検討したんだけど、肝心の行く人が誰もいないのだとか。みんな家族事情とかそれぞれあるけれど、基本的にタイを離れたくないんだよね、と。え、花のパリですよ⁉︎というか、確かにタイ人にとってはここより住み心地のいい場所なんてないのだろうな。3ヶ月でも離れたくないのだとか。どんだけ好きなのか!家族が、とか恋人が、とかじゃなくて、タイを離れたくないということらしい。離れたらまたその良さを実感しますよ、とかいうレベルでもないらしい。

ちなみに、私が知ってるタイ語は8割が食事のメニューだった。何が食べたい?と聞かれて、えーっと、1番好きなのはカオマンガイで、あとはやっぱりヤムウンセンとか、パッタイ、トムヤムクンよりトムカガイが好きかな、あ、ソムタムもいいね。と言ったら、え!タイ語しゃべれるの?とびっくりされました。笑
カオマンガイは、鶏のもも肉を蒸してご飯と食べるものだけど、あれは中国料理で伝統的なタイ料理じゃないよ、とのこと。中国っていうか、シンガポールチキンライスとか、海南鶏飯とかいうものね。でもちゃんと注文してくれました。とにかく何でもすごく美味しかった。庶民の味覚がちゃんとしているところもエジプトみたいかも。あと、次から次へとあれも食べろこれも食べろって皿によそってくるものだから、ホントに動けなくなるかと思うくらいはち切れそうでした。出張前は食事の話なんてしてなかったから、前任者から引き継いだ地球の歩き方で、どこかめぼしいレストランにでも行こうかとも思っていたけれど、全然その必要なかった。しかも、地球の歩き方なんかには絶対載ってないような、結構どこにでもあるような、ファミレスみたいなところだったのだけれど、ホントになんでも美味しかった。きっとタイでは当たり外れとかないのかもしれない。

あと、コップンカーって本当にかわいい言葉だと思う。合掌しながら言うの、言われるよりも自分が言うのが好き。微笑みの国って、タイ人がみんなニコニコしているかと思ってたけれど、もちろんそれもそうだが、自分も微笑んでしまう。
まあ、エジプト要素が大有りだということもちゃんと実感したので、もちろん一筋縄ではいかないが、終わり良ければすべて良しということで、タクシーの運転手に空港で最後、これを言った時に自分がいい気持ちになったので、うん、いい国だった、と。
なお、このタクシーの運転手、最初、お約束で値段ふっかけてこようとしました。きっぱり御断りしたら、笑顔でオッケーって。ダメモトかよ!

タクシーから撮った街の風景。街中電線がものすごいことになっていた。

2016年3月12日土曜日

木蓮咲く

3月は忙しくなると前から覚悟はしていたのだけど、まあまあいっぱいいっぱいな毎日です。
今週末からタイ出張。
その直後に四半期に1回の大きな会議でのプレゼン、更にその翌週には担当案件のレポート作成があり、いろいろと逆算しながら何とか間に合うように、そしてできればなるべく余裕があるように、と思っているのだけど、そこはやはり夏休みの宿題のように、計画通りにはなかなかいかない。余裕日として取っていた日をどんどん切り崩して底をついてしまったような気がする。早くどうにかこの3月の山場を乗り越えたい。。

お天気もあまり優れず、3月でちらほらお花が咲いているのに、結構寒くて、冷たい雨が降ったり、結局今週もほとんど車で通勤してしまった。でも、リスクが大ありな路上駐車。昨日は歩いて帰っていた時に、ちょうど目の前で下手くそだなと私でさえ思うパラレル駐車をしている人がいて、そしたら案の定思いっきり後ろの車にガツンとぶつけているのを目撃してしまった。あれ、どうするんだろう。。嫌なものを見てしまった。まあでも、うちの近くではないし、繁華街だし、狭い通りで交通量が多いところだし、しかも坂道だし!と、、都合のよい解釈をしつつ、まあ引き続き安全運転を心がけます。

パレロワイヤルで咲いていた木蓮の花。色がきれい。
そういえば、最近リヨン駅で期間限定でブース販売している日本の駅弁。ついでがあったので、物は試しに買ってみました。
感動したのは、おーいお茶が売ってたこと(そこか!)。久々のペット飲料はとても美味しかった。でも、やっぱり弁当の中身(私は助六寿司を買った)は、現地生産だからか、レベルはたかが知れているし、なんといってもパッケージに凝りすぎていて、コストパフォーマンスに疑問。まあ、全体の雰囲気として日本を味わってもらうという試行だからな。。しょうがないか。


助六寿司。8ユーロ。


やっぱり、パリに来てまでパリ産の寿司を食べている場合ではないのだ。
ここならではということで、久々にクスクスを食べに行ったら安定の美味しさでなんかホッとしました。


クスクス。オフィス近くでランチ。



2016年3月7日月曜日

納豆キムチ

健脚自慢?なんてしてたのに、今週はなんと毎日マイカー通勤してます。
天気があまり良くなくて、風が冷たかったり、突然雪が降ったり、という日が続いていたというのもあるけれど、やはり冬休み2週目のパリで、交通も少な目だし、路上の駐車スペースに明らかに余裕があり、休み期間だからなのかわからないが必ず夜には路駐スペースが空いている通りがうちのアパートの裏手にあるということを発見してから、すっかり味をしめてしまった。。
同僚いわく、16区は結構いつも空いてるよね・・とのこと。うーん、休み期間が終わっても続けてしまいそうです。

味をしめてしまったといえば、ちょっと意味が違いますが、まさに同じ味に最近はまっているのが、納豆キムチ。
日本でもたまに冷奴の上にかけたりして、好きな組み合わせだったのだけど、パリに来てからまだ手が出てなかったキムチ。それが最近、いつも納豆(冷凍:6個入りのお徳用水戸納豆が7.2ユーロ)を買う韓国食材店でオリジナルのキムチが売っているのに気づき、試しに買ってみたら、これがかなり絶品。日本でスーパーで買ってたのよりも美味しいのでは?という感じ。
もちろんそのまま食べたりしてるけど、納豆と一緒に食べ始めたら、完全にハマってしまった。さすがにマイカー通勤のように毎日は食べてないけれど、1日おきくらいには食べている。
ぐちゃぐちゃ・・
この日は、茹でたきしめんの上に、納豆、キムチ、アボカド、刻みネギ、温泉玉子(ちょっと失敗したけど、沸騰した湯の入った鍋に火を止めて玉子を入れて10分くらい置いたらできるとネットに書いてあったのでやってみた)を乗せて食べた。至福すぎる。

韓国食材店は、日本食材が半分くらい置いてあり、冷凍かぼちゃ、冷凍はんぺん、冷凍かまぼことか何でも置いてあるし、薄切り肉とか、お寿司詰め合わせとか、レンコンやもやしやほうれん草などの生鮮食品も。本当にありがたい。日本と韓国がこんなに持ちつ持たれつで共存しているというのは、外国に出て初めてわかることなのではないだろうか。

ただ、フランス人の日本食材好きの恩恵もすごくあり、こないだ行った近所の魚やさんには、なんと寿司酢やゆず果汁や海苔などなどこだわりの寿司関連食材が沢山置いてあって、感心した。食への関心が何よりも国境を超える・・。

通りがかりの酒屋には日本の酒(特にウィスキー)が沢山!




2016年2月29日月曜日

野菜スープ

土曜の夜にうちで飲み会をしたとき、ワインとチーズを沢山手土産でいただいたので、残ったチーズを消費するため日曜朝はチーズ入りマッシュルームオムレツを作りました。マッシュルームがごろごろで、ハーブ(シブレット)もたくさん入れて、チーズだけじゃなかなか食べきれないけれど、オムレツにするとぺろりと食べれてしまう。




あとは胃にやさしめのお料理を(飲みすぎたわけではなく、寒い日だったので)、と思ってマルシェで買った沢山のオーガニック野菜をスープに。
毎回オーガニック野菜にこだわって買っているわけではないけれど、やっぱりしみじみ身体にやさしいなと、特に煮込んでみるとしみてくる。
玉ねぎ、にんじん、大根、じゃがいも、ブロッコリーと、チキンハムをみんなさいの目に切って煮ただけ。こんなのばっか作って食べてる。。

真っ黒の皮だけど、中は普通に大根 :radis noir
胃にやさしい野菜スープ(水分少ない・・)

2016年2月26日金曜日

冬休み

本文とは関係のない、オペラ座
今週は、パリの学校がお休みなので、職場も人がまばらだし(課にもよるけれど、大体出勤率50%近いところも(って、それはまさに我が課)・・大丈夫か?とやや心配になるレベル)、街も人通りが減って、路上駐車スペースも余裕が出てきているので、雨が降っていたり疲れていたりすると電車で通勤していたところを車に切り替えました。元気でお腹いっぱいでちょっと運動しなきゃ、というときは相変わらず片道30分かけて歩いています。
30分かけて歩くというと、特に日本人からはちょっとびっくりされ(こないだは「健脚ですね!」と後輩に言われて、それに対してすかさずその上司が「お前、それは年寄りに言うセリフだよ。失礼だから!かくしゃくとされていますね!みたいな感じだぜ」と注意していて、言われた私もなるほどーと勉強になったのでした・・)、主にヨーロッパ人からはそれはいいね、と同意される。雨が降っていてもジョギングしたり自転車通勤する人たちなので、30分徒歩通勤なんてまさに朝飯前的な感じなのでしょう。

それにしても、やはりこちらに来て働いてみて改めて実感する、日本との働きスタイルというか、人生スタイルの違い。
特にフランスは学校の休み期間が長く、こないだクリスマス休暇があったばかりと思ったら、今度は冬休み(年末年始が冬休みかと思っていたら、それはクリスマス休暇で、この2月の休みが正真正銘の冬休みらしい)で、また2週間もお休み。
2か月ごとに2週間休むなんて、どんなハードな仕事(学業)をしたご褒美なのか。でも、これでも夏休みが短くなったと文句を言う人もいるらしい。フランスでは、欧米ではスタンダードなクリスマス(12月)やイースター(4月)の休暇に加えて秋休み(10月)や冬休み(2月)もそれぞれ2週間ずつ休むから、夏休みが6月開始ではなく7月開始となったとか。というか、7-8月びっちり2か月間休めるのも日本からすると相当長めですが・・。

ということで、子供の休みに合わせて親が休む。こんなの日本ではあまり考えられないと思うのだけれど、みんな当然のごとくまるまる1週間休んで、スキー場のコテージを何か月前も前から予約していたり、海外旅行に行ったりしている。
単純に休みが多くてうらやましいなあとも思うのだけれど、生産性がこれで落ちていたら話にならないが、みんなパパッと仕事をしてささっと帰っていくのが日常で、休暇もちょびちょび休まずにガーっと働いて1週間単位でざくっと休むし、集中することで成果はきっちり出している。
日本では、どうしても仕事の量も多いし(慢性的人手不足)、拘束時間も長いし(結果無駄になる待機や、上司に気兼ねして残るパターンなども含め)、日々の疲れが溜まり、祝日などで1か月に1回は平日に休めるとホントにありがたく思えた。

それが当たり前だと思っていたし、まあ体力もそれなりにあったからとにかく力任せにやれば何とかなるだろうという、およそスマートとは言えない泥くさーい仕事の仕方だったのかもしれない。。
短い時間で同じような成果を出し、余暇は精神的にも肉体的にもリフレッシュする時間とするなら、経済もまわるし循環機能としては極めて正常かつ効率的だし、人生をドライブととらえれば、少なくても良質なガソリンで長く走る車が理想の車ということだろうか。
そうすると、日本はとにかくドロドロの燃料を沢山入れて、排気ガスを出しまくりながら走る疲れ切った長距離バスやトラックのようなものだろうかと、ついつい考えてしまう。


一方で、やはり特に語学などで遅れというかハンデがある日本人は勤勉でないと、欧米列強には勝てないのよ!と近代明治の留学生のような心持ちにもなる(というか、妄想するだけ)。
この間NHKスペシャルでやっていた司馬遼太郎のこの国のかたち特集で、フランスに留学した古市公威という土木系の役人は、「わたしが1日休めば日本が1日遅れるのです!」と言って死にもの狂いで勉強していたとか。。そんな引き合いに出すのも恐れ多いし、そんな時代でもないのだけど、この土地でほんの100年ちょっと前にそんな日本人がいたのだと思うだけで泣ける。
泣くだけじゃ意味ないですけど。



2016年2月18日木曜日

海外へのお土産

今朝のパリは雪がちらついています。
濃い目の背景がないと雪が降っているとは認識できないほどで、黒いコートを着ている人の背中を目を凝らして見るとようやく微かな雪を発見する、という程度ですが。。

例年に比べれば暖冬で、最近は日が少しずつ伸びてきて、身を切るほどの寒さはもうほとんどなく、南仏ではそろそろミモザのお祭りが始まるというこの頃とはいえ、雨露しのげない暮らしはどんなだろうかと、難民キャンプの惨状を思わずにはいられない。
先日私がノルマンディーの断崖まで行ってお気楽な観光をしていたその頃、同僚(イギリス人女性)はそのすぐ先の「ジャングル」と言われるカレーの難民キャンプに行ってボランティアをしてきて、今足りていないもののリストを翌週全員宛メールに送り、支援を呼び掛けてきた。また週末に戻ってボランティアをするからすぐに届けられるとのことで。足りないものリストはとても具体的で、防水の上着、手袋・帽子、男性用ブーツ(サイズ指定)、フリース、ブランケット、下着、大きな鍋、などなど。人道支援ってどこから手を付けたらいいのか、終わりの見えないような状況でどこまでやればいいのかわからなくなるけど、「これとこれが足りないからあなたに余裕があればこちらにまわして」と言われれば、しかもオフィスとか学校とか毎日通うところで言われれば、アクションを起こすことがたやすいように思える。そして、改めて自分が今持っているものの中から必要なものを見直すきっかけになる。本当に必要なもの以外は、余剰ということなんだと。余剰をシェアすることで社会的効用が上がるのならば、こんなに有益なことはない。
それもほんの微かな雪の一粒くらいなもので、膨大な人数と果てしない時間が経過しているシリアなどの惨状を思うととても光を見出すことができないのだけれど。。



さて、重たい話題から標記の軽い話題へ。

先日日本から出張者が来て内輪の会食をした際に、お土産談義となり、それぞれのお土産哲学みたいなのが垣間見えて興味深かった。長年海外を行ったり来たりの仕事をしていると、それなりに研究が進むというか、人それぞれのこだわりやツボみたいなものがあって、そういうのを聞いていると今更ながらの発見もある(我ながらかなり研究してきた自負はあるので・・笑)。

まとめると以下の3つかな。

①地方推し
なぜか男性に多いパターンなのだけれど、地方の銘品を海外土産にするのを最近よく見かけるというか、実際にいただいている。先日いただいたのは、岩手のおせんべい。東北震災支援の一環で、海外土産は東北のものを選ぶようにしているということでした。さすが。

あとは最近温泉旅行(うらやまし!)に行ったからと、房総の海苔佃煮の瓶詰とか、島根の実家に帰ったばかりだからと、真空パックのシジミお味噌汁とか。
東京にいても嬉しいお土産なんだろうけれど、どれも素朴で美味しいし、裏にストーリー性があり、話題が広がるのが二度おいしい。

②定番の再発見
あまりに古くからある馴染みの品すぎて、わざわざお土産にするなんてあまり思いつかないけれど、「歌舞伎揚げ」とか「ハッピーターン」などの駄菓子は国籍問わず、どこでも喜ばれるのだとか。気軽に配れるし、会議とかの場で一緒につまみながら、ざっくばらんに意見交換すると結構ウケて、病み付きになる人もいるのだとか。

③ニーズ徹底調査
とにかく何が足りていないのか、日本製にこだわるのは何かと、事前に聞きまくる。急に聞かれても特に思いつかない(私は咄嗟にサランラップと綿棒と入浴剤を頼んでしまった。十分思いついてるか。)かもしれないけれど、さりげなくみんなでご飯食べている時に、生活で日本との違いを感じるのはどういうところか?などの話題を出して、そこであがった物などを次の機会にお土産として持ってくるとか(このパターンで持ってきてもらったのが、オシャレ着洗いのエマール)。

もちろんもらう側としては何でもありがたいのですが、もらいながらも自分があげる側になった時の参考にして積み重ねるお土産哲学は詰まるところ自己満足以外の何物でもないと、自覚しつつ。でも、ひとつの研究分野として、これからもウォッチングを続けようっと。


2016年2月8日月曜日

反動の週末③(第1日曜日)

エトルタとルーアン日帰りドライブは土曜日。もう一つの週末、日曜日は第1日曜日ということで、月に一度の美術館無料デーを利用して、タダであればちょっと覗いてみようかなと(失礼・・)思っていた美術館を梯子してみました。


まずはオルセー美術館の館長が一番好きな絵はギュスターヴモローだと語っているのをどこかの雑誌で読んで、ちょっと興味を持ったギュスターヴモロー美術館。モンマルトルの丘のふもとにあり、ちょうどこれもいつか行こうと思っていたパリのバゲットコンクール2015年グランプリに輝いたパン屋の近くでもあるので、またどちらが主目的かわからない「ついで」巡りで。

ちなみにバゲットは納得の美味しさでした。もっちり感とか塩気とかバターの香ばしさとかに特に何か目立ったというかとがったところはないのだけれど、しっかり基本に忠実に美味しい素材を素直に引き出していますという感じで、フランスでは結局こういう仕事をする人が評価されるのだなと、いい意味で少し驚いたというか新鮮に感じた。美味しいものを作って正当に評価されて、スタッフもお客もみんなが笑顔で背筋がピンとしていて、こういうのはまさに相乗効果というか、ミシュランの星獲得にかけるレストラン業界のシビアな話もよく聞くけれど、やっぱり非常に意義が高いと思う(月並みな表現ですが)。



さて、ギュスターヴモロー美術館は、モローが実際に暮らしていた家をまったく掃除せずにそのまま展示しているという印象・・階段のでこぼことか、家具についているほこりとか、照明の暗さとか、もう少し何とか整理したらいいんじゃないかと余計なお世話で思ってしまうけれど、逆にこの時が止まったようなリアル感をありがたいと思うべきなのか。絵も私の趣味では決してなく、スピリチュアル系というかサイケデリック系というか、もう少しグロさを薄めたら日本人が大好きなクリムトとかに近い世界かもしれないけれど、どちらかというと曼荼羅だよなあと、オリエンタリズム(インドの象とかガンダーラ美術のモチーフが随所に使われている)の影響もフランス人がはまるとこういうことになるのね、と漫画オタクの多い現代フランスの原点を見たような気持ち。

まるでファンタジー小説の表紙のような作品(他のはもっとおどろおどろしいのが沢山)

どちらかというと、初めて知ったのだけれど、モローが印象派の先駆けとして、マティスやルオーらの師として国立美術学校で長年教鞭をとっていたということで、特にルオーとはかなり緊密な師弟関係で互いに影響を与えあったとの解説つきでルオーの作品とともに特設で並べて展示されていたので、ルオーの方が好きだなと思いつつ、その師匠の絵という視点で見ると感心させられる、という感じでした。こんなにマニアックな絵を描く人なのに、権威ある国立美術学校で何人もの有能な若い画家を育て、そして彼らから非常に慕われていたというのが意外。ピカソの絵は好きだけれど人間性は酷評されているのと対照的だなあ、って、実際の人物に会ったわけではないから何とも言えませんが。

右上がモローで左下がルオー
売店にはモローにまつわるカタログや本が並べられており、その中には日本語の本もいくつか置いてあった。やはりフランス文化への造詣という意味では、日本人は世界でも抜きんでているというか、層が非常に厚いのだろうな。フランス文化に限らず、あらゆる分野で突き詰めて勉強しようと思えば文献にしろ情報がいくらでもそろっている環境がある日本は本当に恵まれているのだと、外へ出てなお一層気づかされる。


次に向かったのは、結局タダではなかったのだけど、ジャックマール・アンドレ美術館。タダじゃないならまた今度にしようかなと思いつつ、入り口で見たポスターに「ノルマンディーの印象派展」と貼ってあるのを見て、昨日の今日でタイムリーすぎる!とこれはせっかくだから見ていこうと入ったのですが、実はこの特別展示、3月から始まるという予告だった・・というオチ。まあでも、入場チケットにイヤホンガイド代(日本語あり)も含まれていて十分勉強させてもらえたので、文句を言う筋合いはないのですが。

ジャックマール・アンドレ夫妻はかなりの資産家で美術コレクターとして自分たちのお屋敷を集めた美術品で豪勢に飾り立て、それが後世にそのまま美術館として残っているのだから、なんて幸せな人生だろうか。また、夫妻は旅行が好きで毎年必ずイタリアに行き、家具もベネチアから取り寄せたものだったり、部屋中集めたイタリア美術で埋め尽くすほど(これが無秩序というか独特のセンスで好き放題に飾りまくっていて、圧倒される)だったり、エジプトやアジアなどにも足を伸ばしてすっかり魅了されて工芸品を集めていたり、その時代の旅行は今より不便なこともたくさんあるのだろうけど、どんなにか豪勢でロマンチックだったのだろうかと思いをはせてしまう。パリには今もジャックマール・アンドレ夫妻のような人たちがわんさか住んでいそうだけれど。

イタリア美術を展示した間


反動の週末②(ルーアンの大聖堂)

エトルタに行った後、パリに帰る途中に寄り道してノルマンディーの州都、ルーアンへ。

最近少しはまっている中世の教会建築にわか勉強で得た豆知識によると、ゴシック建築の宝庫である北フランスの中でも、ルーアンの大聖堂は装飾がとても精緻なフランボイヤン様式の代表作なのだとか。モネが何枚も描いたように特に夕陽がその色を刻々と変えて建物を照らす様は、息を呑むような美しさだった。尖塔はフランス一高いのだとか。










街全体は、セーヌ川の河口ということで流通の要なのか、川沿いは大きな倉庫がたくさん並び、ちょっとボストンの町並みを思わせる雰囲気。現代のルーアンは石油化学や繊維などの工業都市らしく、発展して景気も良さそう。

でも大聖堂を中心とした旧市街は中世の木組みの建物がそのまま残って商業店舗として使われていて、歩いていてとても面白い。パリからは片道1時間ちょっとで来れるので、きっとまた来よう。今度は美術館やジャンヌダルクの処刑跡地も確かめたり。。




でも、やはり食に心残りが。。このケーキ屋さん、いかにも絶対美味しそうな店構えで、フランスでは珍しく行列ができていたのです。並んでる時間はなかったので断念したけれど、次回はぜひ!





2016年2月7日日曜日

反動の週末①(ノルマンディーの断崖絶壁)

少しご無沙汰してしまいました。風邪は完全復活。しつこかった咳(ゲホゴホゲホゲホ!という、断末魔のようなすさまじい叫びを所構わず浴びせてしまい、何度振り返られたことか。。)もようやくなりを潜め、正常モードに。
パリは最近全然寒くなくて、結局「これがパリの冬よ」と言われた期間は正味2週間もなかったのではないかと。このまま春に突入するのだろうか。soldeでいいコートがあれば買おうと思ってたけど、なんかやる気をなくしてしまった。
春が来るのは待ち遠しいけれど、なんかこんな冬で良かったのかな・・と。もっと冬の厳しさと散々向き合ってからの春の方がありがたみが増すのにな、なんて、あまのじゃく的な発想か。

その反動的現象でというか、動と静が入れ替わるかのように、今週末はいろいろと行きたかった場所に足を伸ばしてみました。

季節問わず海より山派だなあと年を重ねるごとに思いを強くしつつありますが、たまには海も見てみたい(というかシーフードが食べたくて!)ということで、パリから片道2時間くらいで行けるノルマンディーの海へ。
ノルマンディーといえば、第二次世界大戦の連合軍が勢いを増すきっかけとなった「ノルマンディー上陸作戦」。イギリスとの海峡が最も近いカレーの岬では、難民が押し寄せて簡易キャンプを作っているところに暴動や襲撃や火災やらで「ジャングル」と言われるほど治安がひどいことになっているというけれど、そこまで行かずにパリから西にまっすぐ進んだ港町のドーヴィルやトルーヴィルなどは昔から高級リゾート地で、パリの高級ブランド・ストリートがそのままノルマンディー風建築の外見にだけ着替えてきたようなところもあるという。オンフルールという可愛い港町もあるというし、ル・アーヴルという少し前に話題になっていたカリウスマキ監督の映画(見ていないけれど・・)の舞台になった街もあるし、どこに行こうかなと少し調べて結局目星をつけたのが、ルパンの奇巌城の舞台になったという、断崖絶壁の景勝地「エトルタ」。

お天気はあまりよくなかったし、とにかく強風で、断崖絶壁の淵に立つとまさに吹き飛ばされるのではないかというすごい恐怖体験ができる(まあそこまでじゃないか)日でしたが、ダイナミックなパノラマが広がる光景は聞きしにまさる、たくさんの画家を魅了してきた場所というのに納得。特に美術館で見たクールベの絵は冬の灰色の空がちょうど同じ雰囲気で、後から思い出すと絵と実際の風景がオーバーラップするような感じでした。

カモメが断崖の上、強い風が吹き付ける中、むしろそれを楽しんでるかのような悠然とした雰囲気を漂わせていたのも印象的。



教会の扉は閉められていたけれど、まるで灯台のように全てを見守って行き先を照らしているのだろうか。
何かに立ち向かっているかのような断崖絶壁は、冬の方がドラマチックな感じがする。と言いつつ、思わず頭の中では2時間ドラマのクライマックスで犯人が告白するシーンがついつい浮かんでしまい、我ながらなんたる稚拙なというか低俗な想像力たることか。


しかし、個人的なクライマックスはやはり食であった。
フランスに来て初めての牡蠣。パリでもそこら中の街角ビストロでさんざんお目にかかっているけれど、なかなか実際食べる機会がなくて、満を持しての。やはり牡蠣はうまい、の一言に尽きます。たまに食べるからのスペシャル感。また少し間を置いてから食べようと、勝手に心に決めておく。